脱エクセル研究所 > 脱Excelの進め方ガイド|何が問題で、どこから始めるべきか
2026年4月1日
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脱Excelを任された実務担当者向けに、なぜ脱Excelの話が出るのか、何を整理し、どこから進めるべきかを6つのフェーズで解説します。
部長から「そろそろ脱Excelで進めよう」と言われたんですが、何から手を付ければいいのか全然わかりません。ツールを探し始めればいいんでしょうか。
いきなりツールを探し始めるのは早いのう。まず整理すべきなのは、なぜ脱Excelの話が出てきたのか、今どんな問題が起きているのかじゃ。
脱Excelという言葉は強いので、つい「Excelを使っている状態そのものが悪い」と受け取られがちです。ですが実務では、Excelが向いている仕事もまだ多く残っています。
たとえば次のような用途は、無理に別のツールへ移さなくても大きな問題になりません。
一方で、複数人が継続運用し、履歴管理や承認や権限設定が必要になる業務は、Excelだけで回し続けるほど事故が増えやすくなります。
つまり脱Excelは、Excel撲滅 ではなく 業務を回る形へ整え直すこと です。ここを最初に外すと、あとでツール選定や移行範囲がぶれます。
脱Excelの相談は、たいてい次のどれかから始まります。
大事なのは、ここではまだ どのツールを使うか を決めないことです。まずは 何がつらいのか、どんな事故を減らしたいのか、誰のための改善なのか を言語化します。
たとえば 集計に時間がかかる という訴えひとつ取っても、
で、打ち手はまったく変わります。
同じ「大変です」でも、背景が違えばやることも変わるわけですね。
その通りじゃ。症状をそのままツール比較に持ち込むと、だいたい迷子になるのう。
脱Excelを進めるときは、次の6フェーズで考える と整理しやすくなります。
| フェーズ | ここで決めること | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 企画・構想 | 何を良くしたいのか | 脱Excelそのものが目的化する |
| 現状分析 As-Is | 今どう回っているか | ファイル一覧で終わる |
| 課題整理 | 何が本当の問題か | 症状と課題が混ざる |
| あるべき姿 To-Be | 何を残し、何を移すか | いきなり全移行したくなる |
| 業務フロー・運用ルール設計 | 誰がどう使うか | 例外処理を無視する |
| 要件定義入口 | 何の機能が必要か | ツール比較から逆算してしまう |
この順番の良さは、ファイル整理 -> ツール比較 という短絡を避けられることです。脱Excelの失敗は、便利そうなツールを選ぶ前に、業務の切り分けができていない ことから始まるケースが多くあります。
企画・構想のフェーズで決めるのは、何を改善したいのか です。ここではツール名ではなく、目的を整理します。
たとえば目的は、次のように分けると考えやすくなります。
このフェーズで重要なのは、誰のどんな不便を減らしたいのか を具体化することです。営業なのか、経理なのか、管理部門なのかで、最適な進め方は変わります。
企画・構想フェーズをもう少し詳しく整理したいなら、次の記事でまとめています。
脱Excelは何から始めるべきか|企画段階で最初に整理すること
現状分析では、どのExcelファイルがあるか より どの業務がどう回っているか を見ます。ファイル単位でなく、業務単位で棚卸しするのがコツです。
見るポイントは次の通りです。
ここでやるべきなのは、症状を事実として拾うこと です。評価や解決策はまだ急がず、まずは現場で起きていることを見える化します。
課題整理では、現状分析で見えた症状を、構造的な課題に言い換えます。
たとえば、
という症状があっても、本当の課題はそれぞれ違います。
このフェーズでは、Excelの問題 と 運用の問題 を分けて考えるのが重要です。ツール変更で解けることもあれば、運用ルールを整えるだけで改善することもあります。
To-Be では、何を残し、何を移し、何をやめるか を決めます。ここでいきなり 全部移す と決めないのがポイントです。
考え方は次の通りです。
既存の子記事で近い論点はこのあたりです。
このフェーズでは、Excelゼロ より 事故が減る運用 を目標にした方が失敗しにくくなります。
ツールを入れても、運用ルールが曖昧だと定着しません。ここでは、誰が入力し、誰が確認し、何が出力されるかを決めます。
特に詰めたいのは次の4点です。
ここを甘くすると、導入後に 例外時だけExcelで持っておこう が復活します。脱Excelの失敗は、通常フローより例外フローで起きることが多いです。
要件定義では、先のフェーズで決めたことを、システム要件へ翻訳し始めます。ここで考えるのは、たとえば次の観点です。
ここで大事なのは、要件定義は 比較表を埋める作業 ではないということです。どんな運用を実現したいか が先で、それを支える機能を後から整理します。
移行準備の観点で近い論点は、次の記事です。
要件定義って、ツールの機能一覧を見ることだと思っていました。
実際には逆じゃ。先に運用を決めて、それを実現するために必要な機能を並べるのじゃよ。
ここまでの話を踏まえると、判断軸は大きく4つです。
| 判断軸 | 残しやすい | 移しやすい |
|---|---|---|
| 利用人数 | 1〜2人 | 3人以上で継続運用 |
| 更新頻度 | 月1回以下 | 毎日・毎週更新 |
| 正確性要求 | 多少の手直しで済む | ミスが請求や顧客対応に響く |
| 履歴・権限 | 履歴不要 | 更新履歴や閲覧制御が重要 |
右側に寄るほど、脱Excelの優先度は上がります。 逆に左側に寄るなら、無理に移さず Excel を残す判断も合理的です。
もし今の自分がどこから着手すべきかわからないなら、次のように考えると整理しやすくなります。
最初にやるべきは、なぜ脱Excelの話が出たのか の確認です。工数、属人化、品質、統制のどれを改善したいのかを言葉にします。
現状分析から始めます。誰が何を入力し、どこで事故が起きているかを棚卸しします。
課題整理と To-Be の切り分けに入ります。本当にExcelのせいなのか、何を残し何を移すのか を決める段階です。
一度止まって、要件定義の入口に戻した方が安全 です。必要な項目、権限、通知、連携の観点を先に整理します。
案件管理から見直したいなら、次の記事が近いです。
顧客台帳まわりを整理したいなら、次の記事から入ると全体像をつかみやすくなります。
月次レポートの手作業を減らしたいなら、次の記事が入口になります。
kintone などへの移行準備を考えたいなら、次の記事を先に読むと整理しやすいです。
脱Excelは、ファイル形式を変える話ではありません。何が問題で、どう整理し、どこから始めるか を決める業務改善の話です。
押さえておきたいのは、次の3点です。
まずはツール探しじゃなくて、自分たちの業務がどこで詰まっているかを順番に整理すればいいんですね。
そういうことじゃ。脱Excelの第一歩は、道具選びではなく、仕事の流れを見直すことなのじゃよ。
千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。