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脱Excelは何から始めるべきか|企画段階で最初に整理すること

2026年4月1日

9分で読めます

脱Excelを任されたとき、最初にやるべき企画段階の整理をまとめました。ツール比較に入る前に、目的、困りごと、誰のための改善かを言葉にする実務ガイドです。

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移行判断
助手
助手

部長から「脱Excelで進めたい」と言われたんですが、何から始めればいいのか分かりません。やっぱり先にツールを探した方がいいんでしょうか。

博士
博士

まだ早いのう。最初に決めるべきなのはツールではなく、何を良くしたいのか じゃ。ここを飛ばすと、あとで話がぶれやすいぞ。

先に結論

脱Excelを任されたとき、最初にやるべきなのは Excelをやめる方法を探すこと ではありません。
先に整理したいのは、次の3つです。

  • 何が一番つらいのか
  • 誰が一番困っているのか
  • どの事故やムダを先に減らしたいのか

つまり企画段階で決めるのは、脱Excelの目的 です。

たとえば、

  • 集計にかかる時間を減らしたい
  • 特定の人しか更新できない状態を変えたい
  • 転記ミスや更新漏れを減らしたい
  • 履歴や権限をきちんと管理したい

のように、改善したいことを言葉にできる状態 を目指します。

全体の流れから見たい場合は、先にこちらを読むと整理しやすいです。

脱Excelの進め方ガイド

企画段階で最初に決めること

企画段階で決めるのは、何を改善したいのか です。
ここではまだ、どのツールを使うかや、画面をどう作るかまでは決めません。

この段階で必要なのは、問題の名前をはっきりさせること です。

たとえば同じ「Excelがつらい」でも、実際の中身はかなり違います。

  • 毎回の集計に時間がかかっている
  • ファイルが多すぎて最新版が分からない
  • ルールが人によって違い、ミスが増えている
  • 他のシステムへ二重入力していて手間が大きい

どれが中心かで、後の進め方は変わります
ここをぼかしたまま進めると、途中で「何のために移行するんだっけ」となりやすいです。

なぜ脱Excelの話が出るのか

脱Excelの相談は、たいてい 次のどれかの困りごと から始まります。

1. 時間がかかる

月次集計、レポート作成、転記、突合に毎回時間がかかる状態です。
この場合は、Excelそのものより 作業の流れが人手に寄りすぎている ことが問題かもしれません。

2. 特定の人しか分からない

担当者しか更新ルールを知らない、引き継げない、休むと止まる。
これは Excel が悪いというより、運用が人に寄っている サインです。

3. ミスがそのまま実害になる

転記ミス、集計ミス、更新漏れが、請求や顧客対応や会議資料にそのまま響く状態です。
この段階まで来ると、単なる不便ではなく、品質の問題 になっています。

4. 履歴や権限を管理しにくい

誰がいつ変えたか分からない、見せたくない情報まで見えてしまう。
この手の悩みは、継続運用する台帳や管理表で起きやすいです。

5. 他システムとつながらない

SaaS から CSV を出して Excel へ貼り、そこからまた別の資料を作る。
こうした二重入力や張り直しが多いなら、連携の弱さが発火点 になっています。

助手
助手

同じ「Excelがつらい」でも、時間の問題なのか、ミスの問題なのかで、整理の仕方が変わるんですね。

博士
博士

そうじゃ。ここを混ぜたまま話すと、対策もぼやける。まずは困りごとの種類を分けるのが先じゃよ。

脱Excelを目的化すると失敗する理由

脱Excelという言葉は強いので、つい Excelをやめること自体が目的 になりがちです。
でも実務では、それだと失敗しやすいです。

理由はシンプルで、Excelをやめても、困りごとが解けるとは限らない からです。

たとえば、

  • 更新ルールが曖昧なまま別ツールへ移す
  • 必須項目が決まっていないまま入力画面を作る
  • 何を会議で見たいか決めずにデータだけ移す

という進め方をすると、場所が変わるだけで混乱は残ります

反対に、Excelを一部残していても、

  • 共有運用が安定する
  • ミスが減る
  • 引き継ぎしやすくなる
  • 集計が軽くなる

なら、それは十分に前進です。

脱Excelは Excel 撲滅ではなく、業務を回る形に整えること
ここを最初に押さえておくと、企画段階で迷いにくくなります。

企画段階で整理したい4つの質問

ここからは、実際に考えるときの質問を4つ に絞ります。

1. 一番時間がかかっているのは何か

「管理表が重い」ではなく、何に時間がかかっているかを具体化します。

  • 毎回の集計か
  • 転記か
  • 確認作業か
  • 会議前の資料づくりか

ここがはっきりすると、後で現状分析もしやすくなります

2. 誰が一番困っているのか

営業なのか、経理なのか、管理部なのか、責任者なのか。
困っている人が違えば、改善の優先順位も変わります。

たとえば現場は入力負荷で困っていて、責任者は数字の見え方で困っていることもあります。
この2つは似ているようで、打ち手が違います

3. どの事故を先に減らしたいのか

困りごとを広く取りすぎると、企画段階で話が大きくなりすぎます。
まずは実害の大きいものを絞る方が進めやすいです。

たとえば、

  • 更新漏れで対応が遅れる
  • 集計ミスで会議の数字がずれる
  • 最新版が分からず二重対応が起きる

のように、具体的な事故で考えると優先順位がつけやすい です。

4. その問題はExcelの限界か、運用の曖昧さか

ここはかなり大事です。Excelの限界と、運用の曖昧さを分けて考える ためです。

たとえば、

  • 入力ルールが揃っていない
  • 更新責任者が決まっていない
  • 例外時の扱いが曖昧

なら、問題の中心は運用側 かもしれません。

一方で、

  • 複数人が同時に更新する
  • 履歴や権限が必要
  • 毎週の集計をリアルタイムで見たい

なら、Excelだけで持ち続けること自体が限界 になっている可能性があります。

助手
助手

ここで「もう kintone でいいですか」と聞きたくなるんですが、まだ早いわけですね。

博士
博士

まだ早いのう。何が問題かを分け切る前にツール名を出すと、答えを急ぎすぎてしまうんじゃ。

この段階ではまだ決めなくてよいこと

企画段階でよく起きるのが、話が一気に細かくなることです。
でもこの段階では、まだ決めなくてよいこと があります。

  • どのツールにするか
  • 画面項目をどう並べるか
  • 詳細な権限設計
  • 全部移すか、一部だけ移すかの細かい線引き

これを早く決めすぎると、現状をちゃんと見ないまま結論が先に立ちます

企画段階の役割は、方向を決めること です。
設計を始めることではありません。ここでは方向を決める ことが先です。

企画フェーズが終わった状態の目安

企画フェーズが終わったと言えるのは、次の3つを説明できる状態 です。

  • 何を良くしたいのか
  • 誰のための改善なのか
  • どの問題から先に手を付けるのか

たとえば、

月次レポート作成に毎回半日かかっているので、まずは集計と転記の手間を減らしたい
特に困っているのは営業企画と管理部で、会議前の作業負荷が大きい
まずは最新版の混乱と集計ミスを減らすところから始める

くらいまで言えれば、次の現状分析に入りやすい状態 です。

次に現状分析で見ること

目的が見えたら、次は 今どう回っているか を見ます。
ここで初めて、業務の流れを具体的に追います。

見るポイントは次の通りです。

  • 誰がどのタイミングで入力しているか
  • どこで転記が起きているか
  • どこで待ちが発生しているか
  • どこで重複入力や更新漏れが起きているか

この段階では ファイル一覧を作ること より、業務の流れを見える化すること が大切です。

全体の流れに戻って確認したい場合は、こちらが親記事です。

脱Excelの進め方ガイド

関連する困りごとがはっきりしているなら

もし企画段階の時点で、どこが苦しいかがある程度見えているなら、次の記事も読みやすいです。

案件管理をExcelで続ける限界

顧客管理をExcelで続けてよいケースと危ないケース

月次レポートをExcel手作業で回す限界と自動化の始め方

まとめ

脱Excelを任されたとき、最初にやるべきなのはツール探しではありません。
まずは、何を良くしたいのか を整理することです。

企画段階では、次を押さえると進めやすくなります。

  • 何が一番つらいのか
  • 誰が困っているのか
  • どの事故を減らしたいのか
  • その問題は Excel の限界か、運用の曖昧さか

ここが言葉になれば、次の現状分析で見るべきものもはっきりしてきます。

助手
助手

先にツールを探すんじゃなくて、何を良くしたいのかをちゃんと言える状態を作るんですね。

博士
博士

その通りじゃ。企画で軸が決まれば、その後の現状分析も要件整理もかなり進めやすくなるぞ。

調べたうえで迷うなら、現状整理から相談してください

脱Excelはツール選定だけでは決まりません。どの業務を残し、どこから移すかを整理できると、失敗しにくくなります。

著者
守高 成悟
守高 成悟

代表取締役 CEO

千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。

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