脱エクセル研究所 > 脱Excelの現状分析はどう進める?Excel運用の棚卸しで見ること

脱Excelの現状分析はどう進める?Excel運用の棚卸しで見ること

2026年4月2日

10分で読めます

脱Excelで現状分析を進めるときに、Excelファイル一覧ではなく業務の流れを見る方法をまとめました。誰がいつ入力し、どこで転記や待ちやミスが起きるかを整理する実務ガイドです。

脱Excel
現状分析
Excel依存
業務改善
棚卸し
助手
助手

企画の整理は少し見えてきたんですが、次に現状分析と言われても、何を見ればいいのか分かりません。まずはExcelファイルを全部集めればいいんでしょうか。

博士
博士

ファイル集めだけで終わると、だいたい足りんのう。現状分析で見るべきなのは、どのファイルがあるか より 仕事がどう流れているか じゃよ。

先に結論

脱Excelの現状分析で最初にやるべきなのは、Excelファイルの一覧を作ること ではありません。
先に見たいのは、次の3つです。

  • 誰が、いつ、何を入力しているか
  • どこで転記や確認待ちが起きているか
  • どこでミスや更新漏れが起きやすいか

つまり現状分析は、仕事の流れの棚卸し です。
ファイルを並べるだけでは、なぜ大変なのかまでは見えてきません。

全体の流れを先に見直したい場合は、親記事から戻ると整理しやすいです。

脱Excelの進め方ガイド

現状分析で見るのはExcelより仕事の流れ

現状分析と聞くと、つい

  • どんなファイルがあるか
  • シートが何枚あるか
  • 列が何本あるか

を先に調べたくなります。もちろんそれも無駄ではありません。
ただ、それだけでは 仕事の詰まり方 は見えてきません。

たとえば本当に知りたいのは、次のようなことです。

  • 誰が最初に入力しているのか
  • そのあと誰が確認しているのか
  • どこで別ファイルへ写しているのか
  • どこで止まり、誰に聞きに行っているのか

同じ管理表でも、現場での使われ方が違えば問題の中身も変わる からです。
現状分析では、ファイルの形より 実際の運用 を先に追います。

なぜファイル一覧だけでは足りないのか

ファイル一覧だけで終わると、現状分析が浅くなりやすい理由は3つあります。

1. 手間がどこで発生しているか分からない

ファイルが10個あると分かっても、どの作業が重いのか は分かりません。
本当に時間を食っているのが、入力なのか、集計なのか、確認なのかで、後の打ち手は変わります。

2. 事故の起点が見えない

最新版の混乱、転記ミス、更新漏れは、ファイル数だけ見ても原因がつかめません。
どの受け渡しで事故が起きるか を見ないと、問題の場所を外しやすいです。

3. 属人化がどこにあるか分からない

担当者しか分からない状態は、ファイル名より 使い方の癖 に出ます。
「この列はこの人しか触れない」「この確認は口頭でしか回っていない」など、運用の実態まで見ないと属人化は拾えません。

助手
助手

ファイルの数を数えても、どこで止まるかまでは分からないんですね。

博士
博士

そうじゃ。現状分析は台帳調査ではなく、仕事の観察 じゃと考えると分かりやすいぞ。

現状分析で必ず押さえたい4つの観点

ここからは、最低限ここだけは見る という4つの観点に絞ります。

1. 誰が、いつ入力しているか

まずは入力の起点を見ます。

  • 最初の入力者は誰か
  • 毎日なのか、週1回なのか
  • 入力の締切はあるか
  • 入力が遅れると次の作業が止まるか

ここが曖昧だと、後で仕組みを変えても運用が安定しません。
入力の起点が見えないと、全体も整わない と考えるとよいです。

2. どこで転記や重複入力が起きているか

脱Excelの相談では、かなりの確率で 貼り替え二重入力 が出てきます。

  • Excelから別のExcelへ移している
  • SaaSのCSVを落として貼っている
  • 会議資料用に別シートへまとめ直している

この手の作業は、時間もミスも両方増やしやすい ポイントです。
現状分析では、どの受け渡しが毎回発生しているかを押さえます。

3. どこで待ちや確認が発生しているか

作業時間そのものより、待ち時間 の方が大きいこともあります。

  • 担当者の更新待ち
  • 上長確認待ち
  • 他部署からの数字待ち
  • 会議直前の最終確認待ち

ここを見ないと、「入力を楽にしたのに全体は早くならない」が起きます。
止まる場所を見つけること も現状分析の大事な役割です。

4. どこで例外処理や手戻りが起きているか

現場では、通常フローより 例外時の対応 で苦しくなりがちです。

  • 入力漏れがあったときだけ個別対応している
  • 顧客ごとに管理方法が少し違う
  • 締切後の差し込み修正が毎回起きる

こうした例外が多いと、後でツールを変えても結局Excelが残ります。
例外が日常化していないか は必ず見ておきたいです。

棚卸しはファイル単位ではなく業務単位でやる

現状分析では、案件管理表顧客台帳 のように、ファイル名で区切るより 1つの業務の流れ でまとめた方が見やすいです。

たとえば案件管理なら、次のように追います。

  1. 営業が案件情報を入力する
  2. マネージャーが進捗を確認する
  3. 会議前に担当者が資料用に集計し直す
  4. 会議後に更新内容を台帳へ戻す

この形で見ると、

  • 入力はどこか
  • 集計はどこか
  • 二重更新はどこか
  • 会議のためだけに増えている作業は何か

が見えてきます。

逆に、ファイル単位で

  • 案件一覧.xlsx
  • 会議資料.xlsx
  • 月次集計.xlsx

だけ並べても、なぜ3つに増えているのか は分かりにくいです。
現状分析では、ファイル名より 業務のまとまり を優先します。

現場で聞くときの質問

現状分析は、現場への聞き方 で精度が変わります。
使いやすい質問は、次のあたりです。

  • この表は誰が最初に更新しますか
  • 更新は毎日ですか、必要なときだけですか
  • この数字はどこから持ってきていますか
  • 会議前に追加でやっている作業はありますか
  • 修正が入ったとき、誰がどこを直しますか
  • 引き継ぐとしたら、どこで困りそうですか

ポイントは、「困っていますか」とだけ聞かず、実際の作業の順番 を聞くことです。
現場の人は、困りごとを抽象化するより 作業の流れで話す方が正確 なことが多いです。

助手
助手

「何が問題ですか」より、「昨日どうやって更新しましたか」と聞いた方が、実態が見えそうです。

博士
博士

その通りじゃ。現状分析では、意見より 事実の流れ を拾う方が強いのう。

この段階ではまだやらないこと

現状分析でありがちなのは、途中から解決策を考え始めることです。
でもこの段階では、まだ結論を急がない 方がよいです。

まだやらなくてよいのは、たとえば次のようなことです。

  • どのツールを使うか決める
  • 画面項目を細かく決める
  • すぐに To-Be を描き始める
  • 列名の整理だけで満足する

現状分析の役割は、いま何が起きているかを事実としてそろえること です。
ここで飛ばすと、後の課題整理が思い込みに引っ張られます。

現状分析が終わった状態の目安

現状分析が一段落したと言えるのは、次の3つを説明できる状態 です。

  • 誰がどの順番で作業しているか
  • どこで手間、待ち、ミスが発生しているか
  • どこがExcelの限界で、どこが運用の問題かまだ切り分ける必要があるか

たとえば、

営業が案件を入力し、会議前に営業企画が別シートへ集計し直している
そこで進捗確認と転記が増えており、会議直前に更新漏れが出やすい
問題は案件表そのものより、会議用の別集計と確認の流れにありそう

くらいまで言えれば、次の課題整理に進みやすいです。

具体例で見る現状分析

以下は、イメージしやすくするための架空の例 です。

失敗例: みなと食品卸株式会社(従業員62名 / 業務用食品卸)
営業部では受注一覧、出荷予定表、欠品連絡表をそれぞれExcelで持っていました。
現状分析として最初にやったのは、共有フォルダにある 27 個のファイルを一覧にして、どのシートが残っているかを調べることだけでした。
その結果、「主要ファイルはこれ」と3本に絞ったものの、実際には午前中に営業アシスタントが受注一覧を更新し、午後に物流担当が出荷予定表へ写し、夕方に営業マネージャーが会議用シートを別で作る流れが見えていませんでした。
新しい運用案でもその3本をそのまま置き換えようとしたため、受注から出荷までの二重入力と確認待ちは残りました。
失敗の原因は、ファイルの整理で満足して、仕事の流れを追わなかったこと でした。

成功例: 東峰機器販売株式会社(従業員41名 / 産業機器の商社)
この会社では、案件一覧、見積管理、受注見込み表がバラバラに動いていました。
現状分析では、ファイル名を先に並べるのではなく、営業1名と営業事務1名の1週間の流れを追いました。
すると、営業が案件一覧へ入力した内容を、営業事務が受注見込み表へ転記し、週次会議の前日にマネージャーが会議用のまとめ表を作る、という流れがはっきりしました。
特に重かったのは入力作業ではなく、会議前日に 3 つの表を突き合わせて更新漏れを電話確認する時間でした。
この時点で「本当の詰まりは案件一覧そのものではなく、会議前の別集計と確認待ち」と整理できたため、次の課題整理へつなげやすくなりました。

次に課題整理をそのまま進めたい場合は、こちらで詳しく整理しています。

脱Excelの課題整理はどう進める?症状を本当の問題に言い換える方法

目的がまだ曖昧なら企画フェーズに戻る

現状分析を進めていると、「そもそも何を良くしたいんだっけ」が曖昧なままのケースもあります。
そのときは、無理に先へ進まず、企画フェーズの記事に戻る方が安全 です。

脱Excelは何から始めるべきか|企画段階で最初に整理すること

困りごとがはっきりしているなら

現状分析をしながら、「たぶんここが一番つらい」と見えてきたなら、困りごとに近い記事から読む と整理しやすいです。

案件管理をExcelで続ける限界

顧客管理をExcelで続けてよいケースと危ないケース

月次レポートをExcel手作業で回す限界と自動化の始め方

まとめ

脱Excelの現状分析で見るべきなのは、Excelファイルの一覧ではありません。
まずは、仕事がどう流れているか を追うことです。

押さえておきたいのは、次の4点です。

  • 誰が、いつ入力しているか
  • どこで転記や重複入力が起きているか
  • どこで待ちや確認が発生しているか
  • どこで例外処理や手戻りが起きているか

ここまで見えると、次の課題整理で 症状を構造的な問題へ言い換える準備 ができます。

助手
助手

現状分析は「ファイルを集める作業」じゃなくて、「仕事がどこで止まるかを見つける作業」なんですね。

博士
博士

そういうことじゃ。流れが見えれば、次に何を直すべきかもかなり見えやすくなるぞ。

調べたうえで迷うなら、現状整理から相談してください

脱Excelはツール選定だけでは決まりません。どの業務を残し、どこから移すかを整理できると、失敗しにくくなります。

著者
守高 成悟
守高 成悟

代表取締役 CEO

千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。

運営会社
株式会社ビットライト
株式会社ビットライト

顧客が本当に必要だった価値を、実装する。

現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援しています。

コーポレートサイトを見る
業務とデータをつなぐ Web/AI開発。支援内容を見る