脱エクセル研究所 > 脱Excelの課題整理はどう進める?症状を本当の問題に言い換える方法
2026年4月2日
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脱Excelの課題整理で、現状分析で見えた症状をどう本当の問題へ言い換えるかをまとめました。Excelの問題と運用の問題を分けて、何から先に解くべきかを整理する実務ガイドです。
現状分析で、転記が多いとか、最新版が分からないとか、いろいろ出てきました。でも、ここから何を課題としてまとめればいいのかがまだ曖昧です。
そこで入るのが課題整理じゃ。見えている困りごと を、そのまま並べるのではなく、本当の問題 に言い換える段階じゃよ。
脱Excelの課題整理でやることは、現状分析で拾った事実をもとに、何が本当の問題なのか を言葉にし直すことです。
ここで押さえたいのは、次の3つです。
つまり課題整理は、困りごとの言い換え です。
「大変」「ミスが多い」で止まらず、なぜそうなっているのか まで進めて初めて次の設計につながります。
全体の流れを先に見直したい場合は、親記事から戻ると整理しやすいです。
現状分析では、事実を拾うところまでが役割でした。
課題整理では、その事実を見て 何が問題の芯なのか を考えます。
たとえば、
という言い方は、まだ 症状 に近いです。
ここから一段深く見て、
のように、構造的な問題に言い換える のが課題整理です。
同じ「大変」でも、原因が違えば打ち手も変わります。
ここを飛ばすと、次のTo-Beや運用設計がぼやけやすいです。
症状の言葉だけで話を進めると、脱Excelの検討はぶれやすくなります。
理由は大きく3つあります。
「集計が大変」だけでは、
が分かりません。
課題が曖昧だと、打ち手も曖昧 になります。
実際には、問題の中心が運用ルールにあることも多いです。
こうした状態なら、単にExcelを別のツールへ置き換えても混乱は残ります。
Excelの問題と運用の問題を分ける ことが大事です。
困りごとを全部そのまま並べると、全部が重要に見えてきます。
でも実際には、
では重さが違います。
実害の大きさで順番を決める ためにも、課題の整理が必要です。
現状分析で集めた話を、そのまま報告するだけでは足りないんですね。
そうじゃ。課題整理は、報告を一段深くして 何を直すべきか を見えるようにする工程なんじゃよ。
ここは、実際によく出る言い換え例を見た方が早いです。
| 見えている症状 | ありがちな本当の問題 | 先に見ること |
|---|---|---|
| 集計が大変 | 入力が分散していて、会議用に別集計が必要 | どこで二重集計が発生しているか |
| ミスが多い | 必須項目や確認手順が揃っていない | どの確認が人任せになっているか |
| 最新版が分からない | 更新場所が複数あり、責任者も曖昧 | どこが正本なのか決まっているか |
| 担当者しか分からない | 更新ルールと例外処理が属人化している | 引き継ぐとしたらどこで困るか |
| 引き継げない | 作業が文書でなく口頭や慣習で回っている | 手順のどこが暗黙知になっているか |
この表のポイントは、症状をそのまま課題名にしない ことです。
課題として扱いたいのは、構造的に繰り返し起きる問題 の方です。
課題整理では、次の4つの切り分けをすると整理しやすくなります。
まずは、見えている困りごとが 症状 なのか 原因 なのかを分けます。
は症状です。
一方で、
は原因に近いです。
原因までたどり着かないと、後で同じ症状が戻る と考えると分かりやすいです。
ここはかなり重要です。
同じ問題に見えても、Excelの限界が中心なのか、運用の曖昧さが中心なのかで打ち手が変わります。
たとえば、
なら、Excelだけで持つ限界が出やすいです。
一方で、
なら、問題の中心は運用側にあります。
ツールで解けることと、運用で解くことを分ける のが課題整理です。
現場が大変という話と、会社として優先度が高い話は同じとは限りません。
この差は大きいです。
どの問題が実害につながるか を見ると、優先順位を付けやすくなります。
脱Excelでは、全部を一度にきれいにしようとすると進みません。
まずは、
から先に見る方が進めやすいです。
全部大事にしない ことも課題整理の一部です。
優先順位を付けて初めて、次のTo-Beが現実的になります。
課題整理が弱いときは、話が長くなりがちです。
逆に整理できていると、課題は 1 文でかなり言えます。
たとえば、
案件管理で入力場所が分かれているため、会議前に別集計が発生し、更新漏れと確認負荷が増えている
顧客台帳で更新責任が曖昧なため、担当変更のたびに履歴と最新情報がずれやすい
のように、
まで入ると、次の設計に渡しやすい課題文 になります。
課題整理では、現場との会話も少し変わります。
現状分析のときは事実を集めましたが、この段階では なぜそれが起きるのか を一緒に見ます。
使いやすい問いは、次のあたりです。
ここで気を付けたいのは、責任追及の聞き方にしないことです。
課題整理では、人ではなく仕組みを見る 方が前に進みやすいです。
「誰が悪いか」じゃなくて、「どういう流れだからそうなるのか」を見るんですね。
そうじゃ。人に寄せすぎると再発しやすい。仕組みに寄せると改善しやすいのう。
課題整理でまだやらなくてよいこともあります。
ここで先走ると、また話が散りやすいです。
この段階の役割は、何を解くかを決めること です。
どう実現するかは、次の段階で考えれば十分です。
課題整理が一段落したと言えるのは、次の3つを説明できる状態 です。
たとえば、
問題は案件表がExcelであること自体ではなく、入力箇所が分かれ、会議用の別集計が必要になっていること
その結果として更新漏れと確認負荷が増えている
まずは入力の正本を絞り、会議前の別集計を減らす前提で次を考える
くらいまで言えれば、次のTo-Beに進みやすいです。
以下は、イメージしやすくするための架空の例 です。
失敗例: 春日メディカルサポート株式会社(従業員55名 / 医療機器保守)
現状分析では、「保守報告が遅れる」「請求前の確認が多い」「担当者しか分からない」という声が集まりました。
しかし課題整理の場では、それらを全部まとめて「Excelが古いから限界」という1文にしてしまいました。
その結果、更新責任が曖昧なこと、完了報告のルールが拠点ごとに違うこと、請求前に口頭確認が毎回入ることが整理されないまま、単純なシステム置き換え案だけが進みました。
新しい仕組みを入れても、報告の遅れと確認電話は減らず、現場では「前より入力先が増えただけ」と言われました。
失敗の原因は、症状を原因に言い換えず、Excelだけを悪者にしたこと でした。
成功例: 白川電子部品株式会社(従業員38名 / 電子部品のBtoB販売)
この会社では「顧客情報の重複が多い」「引き継ぎで必ず情報が抜ける」という症状が出ていました。
課題整理では、営業、営業事務、サポートの3者で、どこで重複が生まれるかを洗い直しました。
すると、営業は名刺交換直後に自分の管理表へ登録し、営業事務は見積作成時に販売管理用の台帳へ登録し、サポートは納品後に問い合わせ管理表へ登録しており、顧客の正本が最初から3つある ことが原因だと分かりました。
ここで課題を「顧客情報が重複する」ではなく、「顧客の正本が分かれているため、担当変更時に最新情報がずれる」に言い換えたことで、次の To-Be でも正本を1か所に寄せる方針を立てやすくなりました。
うまくいった理由は、困りごとではなく構造を課題として言い直したこと でした。
次に To-Be をそのまま考えたい場合は、こちらで詳しく整理しています。
脱Excelのあるべき姿はどう描く?何を残し、何を移し、何をやめるか
フェーズ2の記事から続けて整理したい場合は、現状分析の記事も見返す と流れがつながりやすいです。
脱Excelの現状分析はどう進める?Excel運用の棚卸しで見ること
課題整理をしながら、どのテーマが重いか見えてきたら、近い記事から先に読む と次のTo-Beも描きやすくなります。
脱Excelの課題整理で大事なのは、困りごとをそのまま並べることではありません。
症状を本当の問題に言い換えること が中心です。
押さえておきたいのは、次の4点です。
ここまで整理できると、次のTo-Beで 何を残し、何を変えるか を考えやすくなります。
課題整理は、困りごとを並べる作業じゃなくて、「何を先に直すべきか」を見えるようにする作業なんですね。
その通りじゃ。課題が言葉になれば、次の打ち手もかなり迷いにくくなるぞ。
千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。