Notionシステム研究所 > Notionテーブル計算の使い方|合計・平均・数式を業務表に使う判断基準
2026年6月6日
•約11分で読めます
Notionテーブル計算の使い方を、列下部の合計・平均・件数、数式プロパティ、リレーションとロールアップ、工数・金額・進捗率の設計例、Excelへ移す判断まで解説します。
Notionのテーブルで、合計や平均、進捗率を計算できますか。
できる。ただし、Excelと同じ発想で計算表を作ると破綻しやすい。列全体を見る計算、行ごとの数式、別DBを集計するロールアップを分けて考えるんじゃ。
Notionのテーブルビューには、列下部の計算があります。
件数、空欄数、合計、平均、最小、最大などを表示できるため、タスク数、工数合計、問い合わせ件数、金額メモの確認に使えます。
Notion公式ヘルプでも、テーブルビューではデータベースの各列について、その列に含まれるデータを計算して表示できると説明されています。
ただし、Notionのテーブル計算は、ExcelやGoogleスプレッドシートのセル計算とは違います。
この使い分けを決めずに計算を増やすと、Notionの表は読みにくくなります。
Notionテーブル計算は、Excelの代替ではなく、業務DBの列確認、行ごとの判断、関連DB集計を分けて設計する仕組み として使います。
この記事では、Notionテーブル計算の使い方を、列下部の合計・平均、数式プロパティ、ロールアップ、工数・金額・進捗率の設計例、Excelへ移す判断まで整理します。
Notionのテーブルは、見た目は表です。
しかし、計算の考え方はExcelと同じではありません。
| やりたいこと | Notionで使うもの |
|---|---|
| 列全体の合計を見る | テーブル下部の計算 |
| 列全体の平均を見る | テーブル下部の計算 |
| 入力漏れ数を見る | テーブル下部の空欄数 |
| 行ごとに期限超過を判定する | 数式プロパティ |
| 行ごとに進捗率を出す | 数式プロパティ |
| プロジェクトごとのタスク数を集計する | リレーション + ロールアップ |
| 複雑なセル参照で計算する | Excel / Googleスプレッドシート |
Notionの計算は、プロパティ単位で考えます。
たとえば、工数、単価、ステータス、期限 のようなプロパティを作り、その列全体を見るか、各行に同じルールを適用するかを決めます。
Excelのように、A1、B2、C10を自由に参照して計算する前提ではありません。
Notionで計算を使う時は、最初に次の3つを分けます。
| 分類 | 目的 | 例 |
|---|---|---|
| 列集計 | 表全体の状況を見る | 件数、合計、平均 |
| 行計算 | 1行ごとの判断を作る | 期限超過、進捗率、入力漏れ |
| 関連集計 | 別DBの値を親DBに集める | タスク数、完了数、工数合計 |
この分類ができていれば、Notionのテーブル計算はかなり使いやすくなります。
テーブル下部の計算は、列全体をざっくり確認するための機能です。
Notion公式ヘルプでは、数値プロパティがある場合に合計、平均、中央値、最小、最大、範囲などの計算オプションを使えると説明されています。
| 計算 | 使い方 |
|---|---|
| すべてカウント | 行数、タスク数、問い合わせ数 |
| 値の数をカウント | 入力済み件数 |
| 一意の値の数をカウント | 重複を除いた顧客数、担当者数 |
| 空欄をカウント | 入力漏れ数 |
| 空欄以外をカウント | 入力済み数 |
| 合計 | 工数合計、金額合計、ポイント合計 |
| 平均 | 平均工数、平均評価 |
| 最小・最大 | 最小金額、最大工数 |
たとえば、問い合わせ管理DBなら次のように使います。
| プロパティ | 計算 | 見ること |
|---|---|---|
| 件名 | すべてカウント | 問い合わせ件数 |
| 担当者 | 空欄をカウント | 担当未設定件数 |
| 対応時間 | 合計 | 今月の対応時間 |
| 対応時間 | 平均 | 1件あたりの平均対応時間 |
| 顧客 | 一意の値の数をカウント | 対応した顧客数 |
列下部の計算は、会議中に「今月どれくらいあるか」を見るには十分です。
一方で、次の用途には向きません。
| 向かない用途 | 理由 |
|---|---|
| 行ごとの期限超過判定 | 列全体の計算だから |
| プロジェクトごとの集計 | 1つのテーブル全体を見るだけだから |
| 複雑な条件別集計 | 条件を変えながら分析する機能ではない |
| 会計上の正式な金額計算 | 確定値の管理には向かない |
列下部の計算は、指標の入口です。
「この数字で判断できるか」を見て、足りない場合は数式やロールアップに進みます。
行ごとの計算や判定には、数式プロパティを使います。
Notion公式ヘルプでは、数式はデータベースのプロパティとして使えるほか、ボタンやデータベースオートメーションでも使えると説明されています。
テーブル計算でよく使う数式は、次のようなものです。
| 数式プロパティ | 入力に使うプロパティ | 目的 |
|---|---|---|
| 期限超過 | ステータス、期限 | 介入が必要なタスクを出す |
| 残日数 | 期限 | 期限までの日数を見る |
| 入力漏れ | 担当者、期限、種別 | 運用上の抜けを出す |
| 完了フラグ | ステータス | 完了なら1、未完了なら0 |
| 進捗率 | 完了数、全体数 | プロジェクトの進み具合を見る |
| 請求予定額 | 単価、数量 | 参考値として金額を見る |
たとえば、期限超過の考え方は次の通りです。
完了していない、かつ期限が今日より前なら、期限超過
数式例です。
if(prop("ステータス") != "完了" and prop("期限") < today(), "期限超過", "")
進捗率なら、次のように分母が0の場合を考えます。
if(prop("全体数") == 0, 0, prop("完了数") / prop("全体数"))
数式プロパティは、表に数字を増やすためではなく、ビューや会議で使う判断項目を作るために使います。
| よい使い方 | 悪い使い方 |
|---|---|
| 期限超過ビューに使う | どのビューにも出さない |
| 週次レビューで見る | 作成者しか意味が分からない |
| 短い式に分ける | 長い式を1本に詰め込む |
| 入力漏れを見つける | 1回だけ見る計算を残す |
数式の詳しい作り方は、こちらで整理しています。
プロジェクトごとのタスク数、顧客ごとの案件数、部門ごとの日報件数のように、別DBの値を集計する場合はロールアップを使います。
Notion公式ヘルプでは、ロールアップはリレーションに基づいて関連DBのデータを集計する機能として説明されています。
たとえば、プロジェクトDBとタスクDBを分ける場合です。
| DB | 役割 |
|---|---|
| プロジェクトDB | プロジェクト単位の状態を見る |
| タスクDB | 個別タスクを更新する |
| リレーション | タスクをプロジェクトに紐づける |
| ロールアップ | タスク数、完了数、工数合計を集計する |
| 数式 | 完了率や警告を出す |
この構成では、プロジェクトDBに次のような項目を出せます。
| プロジェクトDBの項目 | 作り方 |
|---|---|
| タスク総数 | 関連タスクをカウント |
| 完了タスク数 | 完了フラグを合計 |
| 期限超過数 | 期限超過フラグを合計 |
| 予定工数合計 | タスクDBの予定工数を合計 |
| 実績工数合計 | タスクDBの実績工数を合計 |
| タスク完了率 | 完了タスク数 ÷ タスク総数 |
ポイントは、子DB側に集計しやすい値を作っておくことです。
たとえば、タスクDBに 完了フラグ、期限超過フラグ、見積ポイント を持たせます。
それをプロジェクトDBでロールアップすれば、親DBで進捗やリスクを確認できます。
Notionのテーブル計算は、業務表に落とすと判断しやすくなります。
ここでは、工数、金額、進捗率の3つで考えます。
工数管理は、Notionで「予定と実績のざっくり確認」までなら扱いやすいです。
| プロパティ | 型 | 目的 |
|---|---|---|
| タスク名 | タイトル | 作業内容 |
| プロジェクト | リレーション | 親プロジェクト |
| 担当者 | ユーザー | 作業責任 |
| 予定工数 | 数値 | 見積値 |
| 実績工数 | 数値 | 入力値 |
| 差分 | 数式 | 実績工数 - 予定工数 |
| 状態 | ステータス | 未着手、進行中、完了 |
テーブル下部では、予定工数と実績工数の合計を見ます。
プロジェクトDBでは、タスクDBから工数合計をロールアップします。
ただし、勤怠、原価計算、請求根拠として厳密に扱うなら、専用システムやスプレッドシートに分けます。
金額計算は、Notionでは「参考値」として扱う方が安全です。
| プロパティ | 型 | 目的 |
|---|---|---|
| 品目 | タイトル | 内容 |
| 数量 | 数値 | 個数、時間 |
| 単価 | 数値 | 参考単価 |
| 小計 | 数式 | 数量 × 単価 |
| 請求対象 | チェックボックス | 請求に含めるか |
| 請求書番号 | テキスト | 外部システムとの対応 |
小計や合計はNotionで出せます。
しかし、請求書、消費税、入金、会計処理までNotionで完結させるのは危険です。
Notionには確認用の参考値を置き、確定値はfreeeなどの会計・請求システムへ渡します。
進捗率は、分母を決めないと壊れます。
| 進捗率の方式 | 分母 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| タスク件数 | 全タスク数 | 重さが近いタスク |
| 工数 | 予定工数合計 | 作業量で見たい案件 |
| 見積ポイント | ポイント合計 | ざっくり重みを付けたい案件 |
| ステータス重み | 状態ごとの比率 | 管理粒度が粗い案件 |
「完了タスク数 ÷ 全タスク数」は簡単ですが、重いタスクが残っていると実態とずれます。
プロジェクト管理で使うなら、タスク件数だけでなく、工数やポイントで見た進捗率も検討します。
Notionテーブル計算の失敗は、機能不足よりも設計不足で起きます。
| 失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 合計値だけ見て判断する | 内訳や期限超過が見えていない | ビューと数式を併用する |
| 数式が長くなりすぎる | 1つの式に詰め込みすぎ | 中間プロパティに分ける |
| ロールアップが増えすぎる | 何を見るか決めていない | 会議で使う指標に絞る |
| 金額計算をNotionで完結する | 正式値と参考値が混ざる | 会計ソフトに確定値を持たせる |
| 進捗率が信用されない | 分母の定義が曖昧 | タスク件数、工数、ポイントを決める |
| 入力漏れに気づけない | 空欄チェックがない | 空欄数や入力漏れ数式を作る |
特に危ないのは、Notionの計算値を正式な金額や請求根拠として扱うことです。
Notionは状態管理やレビューには向いています。
しかし、監査、税務、請求、原価管理まで含めるなら、外部システムとの分担が必要です。
Notionで計算できるからといって、すべてNotionでやる必要はありません。
次の条件に当てはまるなら、ExcelやGoogleスプレッドシートへ移します。
| 移す条件 | 理由 |
|---|---|
| セル参照が多い | Notionはセル単位計算が主役ではない |
| ピボットやクロス集計が必要 | 表計算やBIの方が向いている |
| 前提条件を何度も変える | シミュレーションは表計算が強い |
| 大量データを分析する | Notion DBは分析専用ではない |
| 請求・会計の確定値を扱う | 専用システムの方が安全 |
| 複数人が式を頻繁に編集する | Notion数式の保守が難しくなる |
逆に、次の用途ならNotionで十分です。
| Notionでよい用途 | 理由 |
|---|---|
| タスク件数の確認 | テーブル下部で見られる |
| 入力漏れの確認 | 空欄数や数式で出せる |
| 期限超過の抽出 | 数式 + ビューで見られる |
| プロジェクトごとのタスク数 | ロールアップで集計できる |
| 週次レビューの進捗確認 | 指標を絞れば使いやすい |
Notionのテーブル計算は、業務の状態を見えるようにするためのものです。
合計や平均を見るだけなら、テーブル下部の計算。
行ごとの判断なら、数式プロパティ。
別DBの値を集めるなら、ロールアップ。
計算や分析そのものが主役になったら、ExcelやGoogleスプレッドシートに分ける。
この境界を決めると、Notionの表は壊れにくい業務DBになります。
千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。