Notionシステム研究所 > Notion在庫管理の作り方|入出庫・発注点・棚卸しをDB化する
2026年6月6日
•約12分で読めます
Notionで在庫管理を作る方法を、商品DB、入出庫履歴DB、現在庫、発注点通知、棚卸しビュー、専用システムへ移す判断まで実務目線で整理します。
Notionで在庫管理をしたいです。商品名と在庫数の表を作れば十分ですか。
小さな備品リストならそれでもよい。ただし入庫、出庫、棚卸し、発注点まで見るなら、商品DBに数量を直接上書きするだけでは危ない。数量の変化を履歴として残す設計が必要じゃ。
Notionで在庫管理を作ることはできます。
商品名を一覧にする。
在庫数を表示する。
保管場所やカテゴリで絞り込む。
発注点を下回った商品をビューで見る。
入庫や出庫の履歴を残す。
棚卸しで差異を確認する。
こうした軽い在庫管理なら、Notionは十分に使えます。
Notionマーケットプレイスにも、在庫管理用途のテンプレートがあります。
Notion Marketplace:Inventory Management
ただし、Notion在庫管理で失敗するパターンもあります。
Notion在庫管理は、在庫数を直接上書きする表ではなく、商品DBと入出庫履歴DBを分け、現在庫、発注点、棚卸しをビューで確認する小さな業務DB として作る方が安定します。
この記事では、Notionで在庫管理を作る方法を、商品DB、入出庫履歴DB、現在庫、発注点通知、棚卸しビュー、Notionで向かないケース、専用システムへ移す判断まで整理します。
Notionで在庫管理を作るときは、商品DBに現在庫だけを持たせるより、入出庫履歴を別DBにします。
最低限、次の2つを分けます。
| DB | 1行の意味 | 役割 |
|---|---|---|
| 商品DB | 1商品、1SKU | 商品名、カテゴリ、保管場所、発注点、管理責任者を持つ |
| 入出庫履歴DB | 1回の在庫増減 | 入庫、出庫、棚卸し調整、破損、返品などの数量変化を残す |
小さな備品リストなら、商品DBだけでも始められます。
しかし、数量が変わるたびに手で現在庫を上書きすると、あとで理由を追えません。
たとえば、在庫が10個から6個になった時に、販売で4個出たのか、破損で4個減ったのか、棚卸し差異で減らしたのかが分からなくなります。
在庫管理では、数量そのものより、数量が変わった理由が重要です。
| 管理したいこと | 置き場所 |
|---|---|
| 商品名、カテゴリ、保管場所 | 商品DB |
| 発注点、管理者、仕入先候補 | 商品DB |
| 入庫、出庫、返品、破損 | 入出庫履歴DB |
| 棚卸し差異 | 入出庫履歴DB、棚卸しビュー |
| 現在庫 | 入出庫履歴の集計、または確認用プロパティ |
| 正式な原価、会計、請求 | 会計ソフト、販売管理、在庫管理システム |
Notion公式ヘルプでは、データベースはページの集合体であり、プロパティやビューで整理できると説明されています。
この特徴を使って、商品と在庫の増減履歴を分けます。
Notionに向いている在庫管理は、軽い在庫、備品、サンプル、販促物、小規模な商品管理です。
| Notionに向く在庫 | 理由 |
|---|---|
| 社内備品 | 厳密な原価計算より、保管場所と数量確認が重要 |
| 販促物、ノベルティ | 入出庫と発注点を見られればよい |
| 展示会用品 | 保管場所、利用予定、返却確認を見たい |
| サンプル品 | 顧客、担当者、出庫履歴と紐づけやすい |
| 小規模ECの補助台帳 | 商品数が少なく、正式管理は別にある |
| 研究、制作、現場用の消耗品 | 管理者と補充タイミングを見たい |
一方で、Notionに向かない在庫管理もあります。
| Notionに向かない在庫 | 理由 |
|---|---|
| 倉庫単位の大量在庫 | 同時更新、棚卸し、ロケーション管理が重い |
| ロット、賞味期限、シリアル管理 | 追跡単位が細かく、誤登録の影響が大きい |
| 原価、粗利、会計と直結する在庫 | 正式帳簿、税務、会計連携が必要 |
| ECやPOSとリアルタイム連動する在庫 | API連携、排他制御、予約在庫が必要 |
| 複数拠点、複数倉庫の在庫 | 移動、引当、棚卸し責任が複雑 |
Notionは、在庫管理の形を早く作るには向いています。
ただし、正式な在庫評価、会計、EC公開在庫、出荷指示までNotionに寄せるのは危険です。
Notionは、軽い管理、補助台帳、棚卸しチェック、現場の見える化に使うと安定します。
商品DBは、在庫管理の軸です。
1行は1商品、または1SKUです。
| プロパティ | 型 | 目的 |
|---|---|---|
| 商品名 | タイトル | 商品や備品を識別する |
| SKU、管理番号 | テキスト | 重複を防ぐ |
| カテゴリ | セレクト | 備品、販促物、商品、消耗品などを分ける |
| 保管場所 | セレクト、リレーション | 倉庫、棚、拠点を管理する |
| 管理責任者 | ユーザー | 補充や棚卸しの責任者 |
| 発注点 | 数値 | 補充が必要になる数量 |
| 標準発注数 | 数値 | 発注時の目安 |
| 仕入先 | テキスト、リレーション | 発注先を確認する |
| 関連入出庫 | リレーション | 入出庫履歴DBとつなぐ |
| 現在庫 | ロールアップ、数値 | 入出庫履歴から見る |
| 最終棚卸し日 | 日付、ロールアップ | 棚卸し漏れを防ぐ |
商品DBで重要なのは、商品名だけに頼らないことです。
同じような名称の商品、サイズ違い、色違い、拠点違いがあると、すぐに重複します。
SKU、管理番号、カテゴリ、保管場所を持たせます。
| 悪い例 | 問題 |
|---|---|
| ノベルティ | どのノベルティか分からない |
| チラシ | 版、サイズ、保管場所が分からない |
| サンプルA | 顧客貸出用か社内検証用か分からない |
| PC備品 | ケーブル、マウス、端末が混ざる |
商品DBは、在庫数を書く場所ではありますが、数量を直接編集する場所にしすぎない方がよいです。
数量の増減は、入出庫履歴DBへ残します。
入出庫履歴DBは、在庫が増減した理由を残すDBです。
1行は1回の在庫変動です。
| プロパティ | 型 | 目的 |
|---|---|---|
| 履歴名 | タイトル | 入庫、出庫、棚卸し調整などを識別する |
| 商品 | リレーション | 商品DBとつなぐ |
| 日付 | 日付 | いつ増減したか |
| 区分 | セレクト | 入庫、出庫、返品、破損、棚卸し調整 |
| 数量 | 数値 | 増減数量 |
| 増減方向 | セレクト、数式 | 入庫はプラス、出庫はマイナス |
| 担当者 | ユーザー | 誰が処理したか |
| 理由 | テキスト | 顧客出荷、社内利用、破損、棚卸し差異など |
| 関連案件、顧客 | リレーション | 必要なら案件DBや顧客DBとつなぐ |
| 確認状態 | ステータス | 未確認、確認済み、差戻し |
現在庫は、単純には次の考え方で見ます。
現在庫 = 初期在庫 + 入庫合計 - 出庫合計 + 棚卸し調整
Notionだけで厳密な在庫計算をする場合、リレーション、ロールアップ、数式の設計が必要です。
ただし、複雑にしすぎると運用が崩れます。
小規模なら、商品DBに 現在庫 の確認用数値を持たせつつ、増減理由は必ず入出庫履歴DBへ残す形でも構いません。
重要なのは、数量を変えた理由が追えることです。
| 履歴を残すべき変動 | 例 |
|---|---|
| 入庫 | 仕入、返却、補充 |
| 出庫 | 販売、貸出、社内利用 |
| 破損、廃棄 | 使用不可、期限切れ |
| 返品 | 顧客返品、仕入先返品 |
| 棚卸し調整 | 実数との差異補正 |
AIでレシートやメールから入庫候補を作る場合も、正式な数量更新は人が確認します。
AIや自動化で作るのは入出庫候補、正式な在庫更新は確認済み履歴 と分けると、誤登録の影響を抑えられます。
在庫管理で重要なのは、在庫が少なくなった時に気づけることです。
商品DBには、発注点を持たせます。
| プロパティ | 型 | 目的 |
|---|---|---|
| 現在庫 | 数値、ロールアップ | 今の数量を見る |
| 発注点 | 数値 | 補充が必要になる基準 |
| 標準発注数 | 数値 | 補充時の目安 |
| 補充状態 | ステータス | 不要、要発注、発注中、入庫待ち |
| 発注担当者 | ユーザー | 誰が動くか |
| 次回確認日 | 日付 | 保留や確認待ちを拾う |
ビューは、次のように作ります。
| ビュー | 条件 |
|---|---|
| 要発注 | 現在庫 が 発注点 以下 |
| 発注中 | 補充状態 = 発注中 |
| 入庫待ち | 補充状態 = 入庫待ち |
| 担当者別要確認 | 発注担当者 でグループ化 |
| 保管場所別在庫 | 保管場所 でグループ化 |
Notion公式ヘルプでは、データベースオートメーションでトリガーとアクションを設定し、プロパティ編集や通知などを自動化できると説明されています。
これを使うなら、通知条件は絞ります。
| 通知してよい | 通知しすぎない方がよい |
|---|---|
| 発注点を下回った | すべての数量更新 |
| 棚卸し差異が大きい | 軽微なメモ更新 |
| 入庫待ちが期限超過した | すべての商品編集 |
| 管理責任者が未設定 | 参考情報の追加 |
通知は便利ですが、在庫管理を通知だけに頼らない方がよいです。
毎日または週次で見る 要発注 ビューを作り、担当者が確認する運用にします。
在庫管理では、棚卸しも設計します。
Notionで棚卸しをするなら、商品DBに棚卸し用のプロパティやビューを用意します。
| プロパティ | 型 | 目的 |
|---|---|---|
| 帳簿在庫 | 数値、ロールアップ | Notion上の数量 |
| 実棚数 | 数値 | 実際に数えた数量 |
| 差異 | 数式、数値 | 実棚数と帳簿在庫の差 |
| 棚卸し担当者 | ユーザー | 誰が数えたか |
| 棚卸し日 | 日付 | いつ確認したか |
| 差異理由 | テキスト | 破損、出庫漏れ、登録漏れなど |
| 確認状態 | ステータス | 未確認、確認済み、調整済み |
棚卸しビューは、次のように分けます。
| ビュー | 条件 |
|---|---|
| 今月棚卸し対象 | 棚卸し日 が空、または前回から一定期間経過 |
| 差異あり | 差異 が0ではない |
| 確認待ち | 確認状態 = 未確認 |
| 保管場所別棚卸し | 保管場所 でグループ化 |
| 担当者別棚卸し | 棚卸し担当者 でグループ化 |
棚卸し差異が出たら、商品DBの現在庫を直接直すだけで終わらせません。
入出庫履歴DBに 棚卸し調整 として履歴を残します。
差異理由が分かるなら、理由も残します。
| 差異理由 | 次の対応 |
|---|---|
| 出庫登録漏れ | 出庫履歴を追加する |
| 入庫登録漏れ | 入庫履歴を追加する |
| 破損、廃棄 | 破損または廃棄履歴を追加する |
| 数え間違い | 再棚卸しする |
| 原因不明 | 調整履歴を残し、再発防止を見る |
棚卸しは、数量合わせではありません。
運用の漏れを見つける作業です。
Notion在庫管理には限界があります。
次の条件がある場合は、Notionだけで完結させない方がよいです。
| 条件 | Notionだけでは危ない理由 |
|---|---|
| EC、POS、倉庫とリアルタイム連携する | 同時更新、予約在庫、引当が必要 |
| ロット、賞味期限、シリアル番号を管理する | 追跡粒度が細かく、誤登録の影響が大きい |
| 原価、粗利、会計評価を行う | 会計、税務、棚卸評価の正式処理が必要 |
| 複数拠点、複数倉庫で移動が多い | 拠点間移動、責任者、棚卸しが複雑 |
| 出荷、検品、返品フローが重い | ワークフローと承認履歴が必要 |
| 外部ユーザーや現場端末から大量入力する | 入力制御、権限、操作ミス対策が必要 |
Notionは、自由に作れる分、入力ルールも崩れやすいです。
在庫は数字が少し違うだけで、発注、販売、会計、顧客対応に影響します。
「Notionで作れるか」ではなく、「誤登録した時に業務上どれだけ困るか」で判断します。
次の状態になったら、専用の在庫管理システム、販売管理、kintone、EC管理、会計ソフトなどへ移すことを考えます。
| 移行サイン | 理由 |
|---|---|
| 商品数や入出庫件数が増えた | 手入力とビューだけでは追えなくなる |
| 複数人が同時に数量更新する | 誤更新や二重登録が起きやすい |
| 発注、入荷、検品、出荷が分かれている | ステータスと責任の管理が必要 |
| 原価や売上とつながる | 会計や販売管理と連携するべき |
| EC公開在庫と連動する | リアルタイム性と引当管理が必要 |
| 棚卸し差異の影響が大きい | 監査、証跡、承認が必要 |
Notionを使わなくなるわけではありません。
専用システムに移した後も、Notionは次の用途で残せます。
| Notionに残す | 専用システムに移す |
|---|---|
| 管理ルール、棚卸し手順 | 正式在庫数 |
| 商品説明、写真、利用メモ | 入出庫実績 |
| 発注判断のメモ | 発注、入荷、出荷 |
| 改善要望、現場メモ | 原価、会計、請求 |
| 月次レビュー | 在庫評価、監査ログ |
Notion在庫管理は、最初から本格的な在庫システムを置き換えるものではありません。
小さな在庫管理を見える化する。
入出庫履歴を残す。
発注点を下回った商品に気づく。
棚卸し差異を確認する。
この範囲なら、Notionは十分に役立ちます。
一方で、在庫が売上、出荷、会計、顧客対応に直結するなら、Notionは補助台帳に留め、正式な在庫は専用システムで管理する方が安全です。
千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。