脱エクセル研究所 > IT補助金の相談で最初に見ること|SaaS導入後に残る仕事
2026年5月26日
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IT補助金やデジタル化・AI導入補助金の相談で、支援先が何をIT化すべきか決まっていないときに見る業務整理、SaaS導入後に残るExcel作業、外部パートナーに相談する判断軸をやさしく整理します。
支援先から「IT補助金を使って、何かIT化したい」と相談されました。でも、何を入れたいのかは、まだ決まっていないようです。こういうとき、何から聞けばいいんでしょうか。
まずはツール名を聞くより、今どの仕事で困っているかを見るのがよいぞ。補助金の相談に見えて、実は業務整理の相談になっていることが多いんじゃ。
中小企業診断士、行政書士、補助金申請支援会社の方は、支援先からこんな相談を受けることがあると思います。
SaaSとは、インターネット上で使う業務サービスのことです。会計ソフト、販売管理、顧客管理、勤怠管理などが分かりやすい例です。
この記事では、IT補助金やデジタル化・AI導入補助金の相談で、支援先の仕事をどう整理するかをまとめます。
制度の細かい説明ではありません。支援先が本当に困っている仕事を見つけるための記事 です。
なお、2026年5月時点では、従来のIT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金2026」として案内されています。制度名や対象経費、公募スケジュールは変わるため、申請前には必ず公式情報を確認してください。
デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました|中小企業庁
IT補助金の相談では、「どのツールを入れますか」と聞きたくなります。
でも、支援先の中では、まだそこまで決まっていないことがあります。
たとえば、こんな状態です。
| 支援先の言葉 | 先に確認したいこと |
|---|---|
| IT補助金を使いたい | どの仕事に時間がかかっているか |
| DXしたい | 何を楽にしたいのか |
| AIを入れたい | そもそも使えるデータがあるか |
| SaaSを入れたい | そのSaaSに今の仕事が合うか |
| 便利なツールを知りたい | ツールで解ける問題か |
ここで大事なのは、支援先の言葉をそのまま受け取りすぎないことです。
「IT補助金を使いたい」の裏には、次のような困りごとが隠れているかもしれません。
CSVとは、表のデータを別のシステムへ渡すためによく使われるファイル形式です。
便利ですが、毎回人が開いて加工しているなら、そこに手間が残っています。
何を入れるかが決まっていない相談は、ツール選びではなく業務整理から始める 方が安全です。
「補助金を使いたい」と言われると、すぐ対象ツールを探したくなります。でも、その前に困っている仕事を見るんですね。
そうじゃ。道具を選ぶ前に、どの仕事を楽にしたいのかをはっきりさせるんじゃよ。
IT補助金の相談を受けたら、まず次の5つを聞くと整理しやすくなります。
| 聞くこと | 具体的な質問 |
|---|---|
| 時間がかかる仕事 | どの作業に一番時間がかかっていますか |
| 情報の置き場所 | Excel、紙、メール、チャットに何が残っていますか |
| 転記と集計 | 同じ情報を何度も入力していませんか |
| 関わる人 | 誰が入力し、誰が確認し、誰が判断していますか |
| 導入後の運用 | 入れた後、誰が使い続けますか |
特に大事なのは、Excelや紙を「古いから悪い」と決めつけないことです。
Excelや紙には、現場の仕事の流れがそのまま残っていることがあります。
それを見ずにSaaSだけを入れると、あとでこうなりがちです。
支援者が見たいのは、ツール名ではなく、入力、確認、集計、判断の流れ です。
IT補助金やデジタル化・AI導入補助金に乗せやすいのは、すでに世の中にツールが多い仕事です。
たとえば、次のような仕事です。
こうした仕事は、登録ITツールやSaaSが見つかりやすいことがあります。
一方で、先に整理した方がよい仕事もあります。
基幹システムとは、会社の中心になる大事なシステムのことです。
販売、在庫、会計などを管理していることが多いです。
補助金に乗せる仕事と、補助金の前後で別に整理する仕事を分ける と、提案がぶれにくくなります。
公開されているIT導入の事例を見ていると、会社名や業種は違っても、似た困りごとが出てきます。
よくあるのが、見積、受注、請求、在庫などで、複数のExcelから数字を集めているケースです。
たとえば、こんな流れです。
この状態では、どこか1つにSaaSを入れても、全部の手作業が消えるとは限りません。
むしろ、SaaSに入れる前後の仕事が残ります。
複数のExcelから数字を集めている会社は、ツール選びの前にデータの流れを見る ことが大事です。
支援者が聞くなら、次の質問が使えます。
SaaSを入れれば、すべての仕事がきれいに片付くわけではありません。
よくあるのは、SaaSの中に入る仕事と、SaaSの外に残る仕事が分かれるケースです。
たとえば、販売管理SaaSを入れても、次のような仕事が残ることがあります。
これは、SaaSが悪いという話ではありません。
SaaSは標準的な仕事を整えるのが得意です。
ただ、会社ごとの細かいルールや、システム同士の間にある作業までは、別に考える必要があります。
SaaS導入後に残るExcelは、現場がまだ困っている場所を教えてくれる ことがあります。
SaaSを入れたあとに残ったExcelは、失敗の証拠というより、次に整理する場所なんですね。
その通りじゃ。残ったExcelを責めるより、なぜ残っているのかを見る方が前に進むぞ。
もう1つ多いのは、SaaSの標準機能では足りないケースです。
標準機能とは、SaaSにもともと用意されている機能のことです。
多くの会社で使いやすいように作られています。
ただし、現場には会社ごとの事情があります。
この場合、登録ITツールやSaaSだけで全部を解こうとすると、無理が出ることがあります。
必要になるのは、次のような支援です。
APIという言葉が出てくることもあります。
APIとは、システム同士をつなぐための窓口のようなものです。
APIが使えると、あるシステムのデータを別のシステムへ渡しやすくなります。
標準機能で解ける仕事と、連携や小さな開発が必要な仕事を分ける ことが大事です。
SaaS導入後に残る仕事を、ここでは「隙間業務」と呼びます。
よくある隙間業務は、次のようなものです。
| 隙間業務 | よくある状態 | 必要になりやすい支援 |
|---|---|---|
| 入力前の整理 | 紙、メール、チャット、Excelから情報を集めている | 入力ルール、フォーム、業務フロー整理 |
| SaaS外の集計 | CSVを出してExcelで加工している | データ加工、自動集計、レポート設計 |
| 二重入力 | 同じ情報を複数のシステムへ入れている | API連携、CSV連携、マスタ整理 |
| 独自帳票 | 標準の帳票では取引先に出せない | 帳票出力、テンプレート設計 |
| 例外処理 | 通常と違う案件だけ別管理している | 例外ルール、承認フロー、ステータス設計 |
| データ移行 | 既存Excelの書き方がばらばら | データ整理、項目定義 |
| 運用定着 | 現場が入力しない、管理側だけが見ている | 入力画面、通知、確認ルール |
SaaS導入はゴールではなく、SaaSの外側に残る仕事まで整えて初めて成果につながる と考えると、支援先に説明しやすくなります。
支援先から「IT補助金を使いたい」と相談されたら、次の質問を使ってみてください。
この質問で、すぐにツール選定へ進める会社と、先に業務整理が必要な会社を分けやすくなります。
補助金支援者が、業務整理や実装まですべて抱える必要はありません。
次の状態なら、業務整理やシステム連携に強い外部パートナーへ相談した方が進めやすくなります。
外部パートナーに渡すべきなのは、補助金申請そのものではなく、業務整理、Excel棚卸し、SaaS周辺の連携・開発 です。
補助金支援者は、制度選定や申請支援に集中する。
業務整理や実装は、専門パートナーと分担する。
この形にすると、支援先にも「申請して終わり」ではない価値を出しやすくなります。
IT補助金やデジタル化・AI導入補助金の相談では、制度やツールの説明だけでは足りないことがあります。
支援先が本当に困っているのは、次のようなことかもしれません。
補助金支援者が価値を出せるのは、制度に詳しいことだけではありません。
支援先の仕事を、標準ツールに乗る部分、連携や小さな開発が必要な部分、補助金の前に整理すべき部分へ分けること も大きな支援です。
Bitlightでは、補助金支援者の方と連携しながら、支援先企業の業務フロー整理、Excel管理の棚卸し、SaaS導入後に残るCSV加工、データ連携、簡易業務アプリ開発を支援しています。
支援先から「IT補助金を使いたいが、何をシステム化すべきか分からない」「SaaSは入れたが、Excel作業が残っている」と相談された場合は、申請前後の壁打ち相手としてご相談ください。
脱Excel全体の進め方を先に押さえたい場合は、こちらも参考になります。
脱エクセルはどう進める?何を残し、何を移すかを整理する実務ガイド
SaaSやノーコード、独自開発の違いを整理したい場合は、次の記事もつながります。
千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。