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IT補助金の相談で最初に見ること|SaaS導入後に残る仕事

2026年5月26日

13分で読めます

IT補助金やデジタル化・AI導入補助金の相談で、支援先が何をIT化すべきか決まっていないときに見る業務整理、SaaS導入後に残るExcel作業、外部パートナーに相談する判断軸をやさしく整理します。

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SaaS連携
助手
助手

支援先から「IT補助金を使って、何かIT化したい」と相談されました。でも、何を入れたいのかは、まだ決まっていないようです。こういうとき、何から聞けばいいんでしょうか。

博士
博士

まずはツール名を聞くより、今どの仕事で困っているかを見るのがよいぞ。補助金の相談に見えて、実は業務整理の相談になっていることが多いんじゃ。

中小企業診断士、行政書士、補助金申請支援会社の方は、支援先からこんな相談を受けることがあると思います。

  • IT補助金を使えるなら、何かシステムを入れたい
  • DXしたいけれど、何から始めればよいか分からない
  • SaaSを入れたのに、Excel作業が残っている
  • 補助金の対象になりそうなツールはあるが、現場に合うか不安
  • 採択後に本当に効果が出るか、説明しにくい

SaaSとは、インターネット上で使う業務サービスのことです。会計ソフト、販売管理、顧客管理、勤怠管理などが分かりやすい例です。

この記事では、IT補助金やデジタル化・AI導入補助金の相談で、支援先の仕事をどう整理するかをまとめます。

制度の細かい説明ではありません。支援先が本当に困っている仕事を見つけるための記事 です。

なお、2026年5月時点では、従来のIT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金2026」として案内されています。制度名や対象経費、公募スケジュールは変わるため、申請前には必ず公式情報を確認してください。

デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました|中小企業庁

IT補助金の相談は、ツール選びの前に業務整理を見る

IT補助金の相談では、「どのツールを入れますか」と聞きたくなります。
でも、支援先の中では、まだそこまで決まっていないことがあります。

たとえば、こんな状態です。

支援先の言葉 先に確認したいこと
IT補助金を使いたい どの仕事に時間がかかっているか
DXしたい 何を楽にしたいのか
AIを入れたい そもそも使えるデータがあるか
SaaSを入れたい そのSaaSに今の仕事が合うか
便利なツールを知りたい ツールで解ける問題か

ここで大事なのは、支援先の言葉をそのまま受け取りすぎないことです。

「IT補助金を使いたい」の裏には、次のような困りごとが隠れているかもしれません。

  • 毎月の集計に時間がかかる
  • 同じ情報を何度も入力している
  • 担当者しか分からないExcelがある
  • SaaSから出したCSVをまたExcelで加工している
  • 紙、メール、チャット、Excelに情報が散らばっている

CSVとは、表のデータを別のシステムへ渡すためによく使われるファイル形式です。
便利ですが、毎回人が開いて加工しているなら、そこに手間が残っています。

何を入れるかが決まっていない相談は、ツール選びではなく業務整理から始める 方が安全です。

助手
助手

「補助金を使いたい」と言われると、すぐ対象ツールを探したくなります。でも、その前に困っている仕事を見るんですね。

博士
博士

そうじゃ。道具を選ぶ前に、どの仕事を楽にしたいのかをはっきりさせるんじゃよ。

支援者が最初に聞きたい5つのこと

IT補助金の相談を受けたら、まず次の5つを聞くと整理しやすくなります。

聞くこと 具体的な質問
時間がかかる仕事 どの作業に一番時間がかかっていますか
情報の置き場所 Excel、紙、メール、チャットに何が残っていますか
転記と集計 同じ情報を何度も入力していませんか
関わる人 誰が入力し、誰が確認し、誰が判断していますか
導入後の運用 入れた後、誰が使い続けますか

特に大事なのは、Excelや紙を「古いから悪い」と決めつけないことです。

Excelや紙には、現場の仕事の流れがそのまま残っていることがあります。
それを見ずにSaaSだけを入れると、あとでこうなりがちです。

  • SaaSに入れる前の情報集めは、結局Excelのまま
  • SaaSから出したデータを、別のExcelで集計している
  • 現場だけが使う例外ルールがSaaSに入らない
  • 会議用の表だけ、今まで通り手作りしている

支援者が見たいのは、ツール名ではなく、入力、確認、集計、判断の流れ です。

IT補助金に乗せやすい仕事と、先に整理したい仕事

IT補助金やデジタル化・AI導入補助金に乗せやすいのは、すでに世の中にツールが多い仕事です。

たとえば、次のような仕事です。

  • 会計
  • 受発注
  • 販売管理
  • 顧客管理
  • 予約管理
  • 勤怠管理
  • 請求管理
  • 在庫管理
  • EC、決済、インボイス対応

こうした仕事は、登録ITツールやSaaSが見つかりやすいことがあります。

一方で、先に整理した方がよい仕事もあります。

  • 担当者ごとにやり方が違う
  • Excelの列やシートが多すぎる
  • どのデータが正しいのか分からない
  • SaaSと基幹システムの間でCSV転記がある
  • 取引先ごとの独自帳票がある
  • 例外処理が多い
  • 標準機能だけでは仕事に合わない

基幹システムとは、会社の中心になる大事なシステムのことです。
販売、在庫、会計などを管理していることが多いです。

補助金に乗せる仕事と、補助金の前後で別に整理する仕事を分ける と、提案がぶれにくくなります。

よくあるパターン1 複数のExcelから数字を集めている

公開されているIT導入の事例を見ていると、会社名や業種は違っても、似た困りごとが出てきます。

よくあるのが、見積、受注、請求、在庫などで、複数のExcelから数字を集めているケースです。

たとえば、こんな流れです。

  1. 営業担当がExcelで見積を作る
  2. 別のExcelから単価や原価をコピーする
  3. 受注したら、また別のシステムに入力する
  4. 経理が請求用にCSVを出して加工する
  5. 会議用の集計表をもう一度Excelで作る

この状態では、どこか1つにSaaSを入れても、全部の手作業が消えるとは限りません。

むしろ、SaaSに入れる前後の仕事が残ります。

複数のExcelから数字を集めている会社は、ツール選びの前にデータの流れを見る ことが大事です。

支援者が聞くなら、次の質問が使えます。

  • その数字は、最初にどこで生まれますか
  • 最後に誰が使いますか
  • 途中で何回コピーしていますか
  • Excelから別システムへ移す作業はありますか
  • どの数字を正しいものとして扱っていますか

よくあるパターン2 SaaSを入れたのにExcelが残る

SaaSを入れれば、すべての仕事がきれいに片付くわけではありません。

よくあるのは、SaaSの中に入る仕事と、SaaSの外に残る仕事が分かれるケースです。

たとえば、販売管理SaaSを入れても、次のような仕事が残ることがあります。

  • 営業担当が見積条件をExcelで作っている
  • 取引先指定の帳票だけExcelで作っている
  • 月次会議用の集計だけ別Excelで作っている
  • SaaSから出したCSVを経理が加工している
  • 例外案件だけチャットやメモで管理している

これは、SaaSが悪いという話ではありません。
SaaSは標準的な仕事を整えるのが得意です。
ただ、会社ごとの細かいルールや、システム同士の間にある作業までは、別に考える必要があります。

SaaS導入後に残るExcelは、現場がまだ困っている場所を教えてくれる ことがあります。

助手
助手

SaaSを入れたあとに残ったExcelは、失敗の証拠というより、次に整理する場所なんですね。

博士
博士

その通りじゃ。残ったExcelを責めるより、なぜ残っているのかを見る方が前に進むぞ。

よくあるパターン3 標準機能では足りない

もう1つ多いのは、SaaSの標準機能では足りないケースです。

標準機能とは、SaaSにもともと用意されている機能のことです。
多くの会社で使いやすいように作られています。

ただし、現場には会社ごとの事情があります。

  • 取引先ごとに帳票の形が違う
  • 承認の順番が少し特殊
  • 商品や案件の分類が独自
  • 古い基幹システムとつなぐ必要がある
  • 部署ごとに見せてよい情報が違う
  • 一部の計算だけ会社独自のルールがある

この場合、登録ITツールやSaaSだけで全部を解こうとすると、無理が出ることがあります。

必要になるのは、次のような支援です。

  • 入力項目を整理する
  • Excelの列を減らして、必要な情報だけ残す
  • CSVの加工を自動化する
  • SaaSと別システムをつなぐ
  • 帳票を出せる形にする
  • 例外処理のルールを決める

APIという言葉が出てくることもあります。
APIとは、システム同士をつなぐための窓口のようなものです。
APIが使えると、あるシステムのデータを別のシステムへ渡しやすくなります。

標準機能で解ける仕事と、連携や小さな開発が必要な仕事を分ける ことが大事です。

SaaS導入後に残りやすい隙間業務

SaaS導入後に残る仕事を、ここでは「隙間業務」と呼びます。

よくある隙間業務は、次のようなものです。

隙間業務 よくある状態 必要になりやすい支援
入力前の整理 紙、メール、チャット、Excelから情報を集めている 入力ルール、フォーム、業務フロー整理
SaaS外の集計 CSVを出してExcelで加工している データ加工、自動集計、レポート設計
二重入力 同じ情報を複数のシステムへ入れている API連携、CSV連携、マスタ整理
独自帳票 標準の帳票では取引先に出せない 帳票出力、テンプレート設計
例外処理 通常と違う案件だけ別管理している 例外ルール、承認フロー、ステータス設計
データ移行 既存Excelの書き方がばらばら データ整理、項目定義
運用定着 現場が入力しない、管理側だけが見ている 入力画面、通知、確認ルール

SaaS導入はゴールではなく、SaaSの外側に残る仕事まで整えて初めて成果につながる と考えると、支援先に説明しやすくなります。

支援者向けチェックリスト

支援先から「IT補助金を使いたい」と相談されたら、次の質問を使ってみてください。

1. 今の仕事を聞く

  • どの仕事に一番時間がかかっていますか
  • 毎日、毎週、毎月必ず発生する作業は何ですか
  • Excel、紙、メール、チャットで管理している情報は何ですか
  • 担当者しか分からない作業はありますか

2. 転記と集計を聞く

  • 同じ情報を複数の場所に入力していますか
  • CSVを出してExcelで加工している作業はありますか
  • 会議資料や経営レポートはどう作っていますか
  • 入力ミスや集計ミスが起きると、どんな影響がありますか

3. SaaSや既存システムを聞く

  • すでに使っているSaaSや業務システムはありますか
  • そのSaaSから必要なデータを出せていますか
  • 他システムとつなぎたい情報はありますか
  • 標準機能に合わず、別管理している作業はありますか

4. 補助金に乗せる範囲を聞く

  • 補助金で導入したいツールは決まっていますか
  • 登録ITツールで対応できそうな仕事はどこですか
  • 補助金対象外でも先に整理すべき仕事はありますか
  • 採択後に誰が運用を回しますか

この質問で、すぐにツール選定へ進める会社と、先に業務整理が必要な会社を分けやすくなります。

外部パートナーに相談した方がよいサイン

補助金支援者が、業務整理や実装まですべて抱える必要はありません。

次の状態なら、業務整理やシステム連携に強い外部パートナーへ相談した方が進めやすくなります。

  • 支援先が、何をIT化すべきか説明できない
  • Excel台帳が多く、仕事の全体像が見えない
  • SaaSを入れてもCSV加工や転記が残りそう
  • 登録ITツールだけでは独自帳票や例外処理に届かない
  • API連携やデータ加工が必要になりそう
  • 補助金申請書に書く効果の根拠を作りにくい
  • 採択後に現場で使われるか不安がある

外部パートナーに渡すべきなのは、補助金申請そのものではなく、業務整理、Excel棚卸し、SaaS周辺の連携・開発 です。

補助金支援者は、制度選定や申請支援に集中する。
業務整理や実装は、専門パートナーと分担する。

この形にすると、支援先にも「申請して終わり」ではない価値を出しやすくなります。

まとめ

IT補助金やデジタル化・AI導入補助金の相談では、制度やツールの説明だけでは足りないことがあります。

支援先が本当に困っているのは、次のようなことかもしれません。

  • 何をIT化すべきか分からない
  • Excelや紙の仕事が残りすぎている
  • SaaSを入れても、CSV転記や集計が消えない
  • 標準機能では独自業務に合わない
  • 採択後の運用が見えていない

補助金支援者が価値を出せるのは、制度に詳しいことだけではありません。
支援先の仕事を、標準ツールに乗る部分、連携や小さな開発が必要な部分、補助金の前に整理すべき部分へ分けること も大きな支援です。

Bitlightでは、補助金支援者の方と連携しながら、支援先企業の業務フロー整理、Excel管理の棚卸し、SaaS導入後に残るCSV加工、データ連携、簡易業務アプリ開発を支援しています。

支援先から「IT補助金を使いたいが、何をシステム化すべきか分からない」「SaaSは入れたが、Excel作業が残っている」と相談された場合は、申請前後の壁打ち相手としてご相談ください。

Excel業務のシステム化・データ基盤化支援

脱Excel全体の進め方を先に押さえたい場合は、こちらも参考になります。

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脱Excelの移行ツールはどう選ぶ?kintone・Power Apps・AppSheetの考え方

補助金支援者向けDX支援

補助金の相談を、申請して終わりにしないために

中小企業診断士・行政書士・補助金支援会社の方と連携し、支援先の業務棚卸し、SaaS導入後に残る作業、データ連携や小さな業務アプリ化を支援します。

著者
守高 成悟
守高 成悟

代表取締役 CEO

千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。

運営会社
株式会社ビットライト
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