AI活用の前に、まず「脱Excel」。
企業の競争力は、データが自然に集まる業務設計で決まる
今の時代、企業にとってデータ活用やAI活用は、もはや「あったら便利」ではなく、「やらないと競争力が落ちる」テーマになってきています。
世の中の商品やサービスは、かなり成熟してきました。
IT革命以降、便利なアプリや業務システムは一気に増えました。買い物、予約、決済、連絡、管理、分析。多くのことがデジタルでできるようになりました。
一方で、モノやサービスが増えすぎた結果、単に「良い商品を出す」「新しいサービスを出す」だけでは、以前ほど差別化しにくくなっています。
では、これから企業の競争力はどこで差がつくのか。
それは、業務をどれだけ効率よく回せるかです。
同じ売上をつくるにしても、少ない手間でできる会社と、毎回人力で転記・確認・集計している会社では、当然ながら差が出ます。
同じ人数でも、データを使って早く判断できる会社と、情報がバラバラで毎回探すところから始まる会社では、スピードが変わります。
つまり、これからの企業競争力は、商品力や営業力だけではなく、生産性、業務効率、自動化、そしてデータを使った意思決定に大きく左右されるということです。
データ活用は、一部のIT企業だけの話ではありません
この流れを大きく表しているのが、いわゆる第四次産業革命です。
内閣府は、IoT、AI、ビッグデータ、ロボットなどの発展によって、これまでデータ化されていなかった情報が集まり、解析・利用されることで新しい付加価値が生まれていると説明しています。[1]
また、日本政府が掲げるSociety 5.0でも、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、経済発展と社会課題の解決を両立する社会が示されています。[2]
簡単に言えば、現実の業務や社会からデータを集め、それをAIやデジタル技術で活用し、もう一度現実の改善につなげていくという考え方です。
つまり、データ活用やAI活用は、一部のIT企業だけの話ではありません。
日本政府も、データを国際競争力や社会課題解決の基盤として位置づけ、質の高いデータを安全かつ信頼して活用できる環境づくりを進めています。[3]
経済産業省も、AI活用やAXの進展に伴って、AI活用の前提となるデータ整備・管理・利活用の重要性が高まっているとし、デジタルスキル標準ver.2.0でデータマネジメントに関する改訂を行っています。[4]
AI活用の第一歩は、AIを入れることではありません
では、ここで一つ大事な問いがあります。
AIを活用するために、最初にやるべきことは何か。
多くの人は、AIツールを導入することだと思うかもしれません。もちろん、それも大事です。
でも、実際にはその前にやるべきことがあります。
それが、業務データをきれいに集める仕組みをつくることです。
AIもBIも、元になるデータがなければ機能しません。もっと言えば、データがあっても、それがバラバラだったり、入力ルールが統一されていなかったり、最新情報がどこにあるかわからなかったりすると、活用できません。
AI活用の第一歩は、AIを入れることではありません。
AIが使える状態のデータを、日々の業務の中で自然に蓄積できるようにすることです。
そして、その現実的な入口になるのが「脱Excel」です。
問題は、Excelそのものではありません
ただし、ここで言う脱Excelは、「Excelを全部やめましょう」という意味ではありません。
Excelは今でも非常に便利です。計算、集計、グラフ作成、ちょっとした分析には強いツールです。
Microsoftも、Excelは複雑な計算や分析、グラフ作成に向いている一方で、データを整理し、検索しやすくし、複数人で同時に扱うような用途ではAccessのようなデータ管理ツールが向いていると説明しています。[5]
問題は、Excelそのものではありません。
問題なのは、Excelが本来得意ではない業務まで、全部Excelで管理してしまっていることです。
たとえば、案件管理。最初はExcelで十分かもしれません。
案件名、担当者、進捗、見積金額、受注予定日。これくらいなら、Excelで簡単に管理できます。
でも、案件数が増え、担当者が増え、更新頻度が高くなってくると、だんだん問題が出てきます。
「どれが最新ファイルかわからない」「担当者ごとに入力ルールが違う」「ステータス名が人によってバラバラ」「同じ情報を別の表にも転記している」「集計のたびに手作業が発生する」「ミスがあっても気づきにくい」
こうなると、Excelは便利な道具ではなく、業務のボトルネックになります。
在庫管理でも同じです。顧客管理でも同じです。進捗管理でも、問い合わせ管理でも、契約管理でも同じです。
最初は小さな表だったものが、いつの間にか会社の重要業務を支える“なんちゃってシステム”になってしまう。
でも、権限管理も弱い。履歴も追いにくい。入力チェックも甘い。データの構造も整っていない。
ハワイ大学の Raymond R. Panko 氏が整理したスプレッドシートエラー研究でも、業務で使われるスプレッドシートにはエラーが入り込みやすく、その影響は無視できない規模になり得ることが指摘されています。[6]
その状態で「AIを使いたい」「BIで可視化したい」と言っても、なかなかうまくいきません。
必要なのは、業務が回る仕組みそのものを整えること
だからこそ、これから必要なのは、ただExcelをきれいにすることではありません。
必要なのは、業務が回る仕組みそのものを整えることです。
案件管理なら、案件が発生した時点で必要な情報が入力される。在庫管理なら、入庫・出庫のタイミングで在庫数が更新される。顧客管理なら、商談履歴や対応履歴が自然に蓄積される。進捗管理なら、担当者・期限・状態がリアルタイムに見える。
このように、日々の業務を効率化するアプリや仕組みを持ち、その業務を進める中で、自然とデータがたまっていく状態を作る。
これが、これからのデータ活用の土台です。
重要なのは、「データを集めるために、現場に余計な入力作業を増やす」のではないということです。
そうではなく、現場の業務が楽になる仕組みを作った結果として、使えるデータが自然に集まる。
この順番が大事です。
多くの企業では、データがいろいろな場所に散らばっています。
Excelにあるものもあります。紙に残っているものもあります。メールに埋もれているものもあります。チャットに流れているものもあります。複数のアプリに分散しているものもあります。
これらを一気にすべて整理しようとすると、かなり大変です。
だからこそ、まずは一番身近で、多くの業務に深く入り込んでいるExcelから見直すのが現実的です。
脱Excelとは、Excelを否定することではありません。
Excelに頼りすぎていた業務を見直し、業務を効率化し、データをきれいに集め、あとからAIやBIで活用できる状態に整えていくことです。
つまり、脱Excelは単なるツール変更ではありません。
AI活用やデータ活用に向けた、業務設計の第一歩です。
なぜ、私たちは「脱Excel支援サービス」をやるのか
では、なぜ私たちは「脱Excel支援サービス」をやるのか。
それは、多くの会社にとって、AI活用やデータ活用の最初の壁が、まさにこのExcel業務にあると感じているからです。
一方で、脱Excelを進めるための選択肢は世の中にたくさんあります。
kintoneのようなローコードツール。SalesforceやHubSpotのような業務SaaS。freeeのような特定業務に強いSaaS。SAPのようなERP。GoogleスプレッドシートとGASを使った自動化。あるいは、独自のWebアプリやシステム開発。
どれも有効な選択肢です。
ただ、ここでよく起きる問題があります。
それは、ソリューション起点で話が進んでしまうことです。
中小企業庁も、ITツール導入ではまず経営課題・業務課題を明確にすることが重要であり、課題やニーズに合わないITツールを導入すると、期待した効果が得られず投資が無駄になる可能性があると説明しています。[7]
特定のSaaSの導入支援会社であれば、そのSaaSを前提に提案が進みやすい。ローコードツールの支援会社であれば、ローコードで解決する前提になりやすい。システム開発会社であれば、独自開発を前提に話が進みやすい。
もちろん、それぞれの立場が悪いわけではありません。
ただ、顧客側からすると、「本当にうちの業務に合っているのか?」という不安が残ります。
業務に合わないツールを無理やり入れると、現場が使いこなせません。逆に、何でもフルスクラッチで作ってしまうと、本来は既存ツールで十分だったものまで一から作ることになり、コストが大きくなります。
つまり、脱Excelで本当に大事なのは、最初からツールを決めることではありません。
まず見るべきなのは、現場の業務と課題です
今、どの業務がExcelで回っているのか。どこで二重入力が起きているのか。どのデータが分散しているのか。どの業務は変えられるのか。逆に、どの業務は会社固有の事情として残すべきなのか。将来的に、どんなデータ活用やAI活用につなげたいのか。
ここを整理しないままツールだけ入れても、結局うまくいきません。
だから私たちの脱Excel支援では、まず業務整理から始めます。
Excelで管理されている業務を棚卸しし、業務フローとデータの流れを見える化する。そのうえで、変えるべき業務と、無理に変えない方がよい業務を整理する。そして、その会社にとって最適な形を考える。
場合によっては、kintoneのようなローコードツールが最適かもしれません。場合によっては、既存のSaaSに業務を寄せた方がいいかもしれません。スプレッドシートとGASで十分なケースもあります。逆に、独自のWebアプリを作るべきケースもあります。
大事なのは、手段ありきではなく、課題ありきで考えることです。
整理だけで終わらせない
ただし、「何でも中立に選びます」だけでは不十分だとも思っています。
顧客が本当に求めているのは、きれいな提案資料ではなく、実際に業務が変わることです。
だから私たちは、業務整理だけで終わるのではなく、実装、運用定着、その先のデータ活用まで見据えます。
業務アプリを作る。SaaSを導入・カスタマイズする。データベースを整える。入力ルールを整備する。ダッシュボードを作る。営業や管理業務にAIエージェントを組み込む。分析しやすい形でデータを蓄積する。
こうしたところまでつなげて初めて、脱Excelには本当の意味が出てくると考えています。
私たちがやりたいのは、単にExcelを別のツールに置き換えることではありません。
Excelで何とか回してきた業務を見直し、現場が使いやすい形に整え、会社に必要なデータが自然に集まり、そのデータをBIやAIで活用できる状態にしていくことです。
つまり、私たちの脱Excel支援は、Excel業務を入口にした、データ・AI活用基盤づくりです。
第一歩は、もっと身近なところにある
DXやAI活用という言葉は大きく聞こえます。
でも、実際の第一歩はもっと身近なところにあります。
そのExcel、本当に今のままでいいのか。その管理表は、これから会社が成長しても耐えられるのか。そのデータは、将来AIやBIで使える形になっているのか。
私たちは、そこから一緒に見直していきたい。
大きなシステムをいきなり入れるのではなく、現場の業務をちゃんと見て、必要なところから整えていく。
そして最終的には、業務が効率化されるだけでなく、会社の中にデータが蓄積され、判断が速くなり、AIを活用できる土台ができていく。
それが、私たちが脱Excel支援サービスを立ち上げる理由です。
株式会社ビットライト
代表取締役 守高成悟
