kintone業務設計研究所 > kintoneダッシュボードの設計方法|ポータル・グラフ・外部BIの使い分け
2026年6月11日
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kintoneでダッシュボードを作るときに、ポータル、グラフウィジェット、標準グラフ、krewDashboard、kLooker、Looker Studio、外部BIの使い分けを、見る人、KPI、更新頻度、権限、レビュー運用から整理します。
kintoneでダッシュボードを作りたいです。ポータルにグラフを並べればよいでしょうか。
ポータルに並べる前に、誰が、どの会議で、どの数字を見て、何を決めるのかを決める。ダッシュボードは画面設計ではなく、判断と運用の設計だ。
kintoneでは、アプリのグラフや表を使って、業務状況を確認できます。
売上推移を見る。
案件進捗を見る。
問い合わせ件数を見る。
在庫残数を見る。
予実差額を見る。
未対応タスクを見る。
こうしたグラフをポータルやスペースに置けば、ダッシュボードらしい画面は作れます。
ただし、実務で崩れるのは、グラフの配置そのものではありません。
次のような状態が起きます。
これは、ダッシュボードツールの選定だけでは解決しません。
見る人、KPI、正本アプリ、更新頻度、権限、レビュー会議、改善アクションを設計する必要があります。
kintoneダッシュボードで最初に決めるべきなのは、どのツールを使うかではなく、「誰が、どの数字を見て、何を判断する画面か」です。
この記事では、kintoneダッシュボードを設計するときの、ポータル・グラフウィジェット・標準グラフ・krewDashboard・kLooker・外部BIの使い分け、見る人とKPI、複数アプリ横断、公開範囲、更新頻度、週次レビュー運用を整理します。
kintoneグラフの設計方法はこちら
kintone集計全体の設計方法はこちら
ダッシュボードは、グラフを並べる場所ではありません。
会議や日次確認で、見る順番に沿って数字を確認し、必要なレコードへ戻り、次の対応を決める画面です。
| ダッシュボード | 見る人 | 判断 |
|---|---|---|
| 経営ダッシュボード | 経営者、役員 | 売上、粗利、未達、重点案件、資金繰り |
| 営業ダッシュボード | 営業責任者 | 案件進捗、確度、受注予定、活動量 |
| 現場ダッシュボード | 現場責任者 | 未対応、期限超過、作業負荷、異常値 |
| サポートダッシュボード | サポート責任者 | 問い合わせ量、未対応、種別、対応遅延 |
| 経理ダッシュボード | 経理、管理部 | 請求、入金、未回収、差し戻し |
同じkintoneデータでも、見る人によって必要な画面は違います。
経営者には、全体の変化と例外が必要です。
部門責任者には、担当者別の偏りや遅延が必要です。
現場担当者には、今日見るべきレコードが必要です。
すべてを1画面に置くと、誰にも使いにくいダッシュボードになります。
良いダッシュボードは、全員に同じ画面を見せるものではありません。見る人と判断内容ごとに、必要な指標と粒度を分けます。
ダッシュボードを作る前に、KPIを決めます。
ただし、KPIは「見たい数字」ではありません。
判断に使う数字です。
| 見る人 | KPI例 | 見た後の動き |
|---|---|---|
| 経営者 | 月次売上、粗利、予実差額、未回収 | 重点案件確認、コスト見直し |
| 営業責任者 | 案件数、確度別金額、失注理由、次回アクション未設定 | 担当者フォロー、案件レビュー |
| サポート責任者 | 未対応件数、対応遅延、問い合わせ種別 | 担当変更、ナレッジ追加 |
| 現場責任者 | 作業遅延、担当別負荷、期限超過 | 優先順位変更、応援調整 |
| 経理 | 未請求、未入金、差し戻し、締め未完了 | 催促、確認、締め処理 |
KPIを決めるときは、次の5つをセットで決めます。
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 指標名 | 月次売上、未対応件数、期限超過件数 |
| 正本アプリ | 案件アプリ、請求アプリ、問い合わせアプリ |
| 集計条件 | 今年、今月、未完了、受注済み、失注除外 |
| 更新頻度 | リアルタイム、日次、週次、月次 |
| 次の対応 | レコード確認、担当変更、会議議題化、外部共有 |
たとえば「売上」を見るとしても、正本が案件アプリなのか、請求アプリなのか、会計ソフトなのかで意味が変わります。
案件見込みを見たいなら、案件アプリ。
請求済み売上を見たいなら、請求アプリ。
入金状況を見たいなら、入金管理や会計ソフト。
この区別をせずにダッシュボードへ並べると、同じ「売上」という言葉で別の数字を見てしまいます。
まずは、kintone標準機能で足りるかを確認します。
kintoneヘルプでは、グラフウィジェットは特定アプリのグラフを表示でき、売上推移や在庫残数の定点観測に使えると説明されています。
グラフウィジェットでは、表示するアプリとグラフを選びます。
また、閲覧権限のあるアプリだけが検索候補として表示されます。
つまり、標準のポータルダッシュボードは、kintone内の権限とアプリ構成に沿って使うのが基本です。
標準機能で足りるのは、次のようなケースです。
| ケース | 標準機能で足りる理由 |
|---|---|
| 1アプリ内のグラフを共有したい | 保存済みグラフをポータルに置ける |
| 部門内で同じグラフを見たい | 権限が揃っていれば運用しやすい |
| 日次で未対応件数を見る | 最新値を見ればよい |
| 在庫残数や問い合わせ件数を定点観測する | アプリ内の単純集計で足りる |
| 会議前に数個の指標を確認する | 画面数を増やさず共有できる |
標準機能で始める場合は、グラフ数を絞ります。
たとえば、営業ポータルなら次の3つ程度から始めます。
| グラフ | 目的 |
|---|---|
| 今月の受注予定金額 | 月次目標との差を確認する |
| 確度別案件金額 | 重点フォロー先を決める |
| 次回アクション未設定件数 | 放置案件を減らす |
問い合わせポータルなら、次のようにします。
| グラフ | 目的 |
|---|---|
| 未対応件数 | 今日見るべき件数を確認する |
| 対応遅延件数 | 優先対応を決める |
| 問い合わせ種別 | 増えているカテゴリを把握する |
ポータルに置くグラフは、多くても数個に絞ります。
毎日見るもの、週次会議で見るもの、月次会議で見るものを混ぜない方がよいです。
ダッシュボードで難しくなるのは、複数アプリをまたぐときです。
たとえば、次のような画面です。
| 見たいダッシュボード | 必要なアプリ |
|---|---|
| 顧客別の売上・問い合わせ・契約状況 | 顧客、売上、問い合わせ、契約 |
| 案件別の予算・実績・請求 | 案件、作業実績、請求、予算 |
| 商品別の売上・在庫・発注 | 商品、売上明細、在庫、発注 |
| 部門別の売上・工数・粗利 | 案件、請求、作業実績、原価 |
この場合、単にグラフを増やすだけでは足りません。
アプリ間でキーを揃える必要があります。
顧客コード。
案件番号。
商品コード。
部門コード。
期間。
担当者。
これらが揃っていないと、外部BIやプラグインを使っても数字が合いません。
複数アプリ横断のダッシュボードでは、先に次を決めます。
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 正本アプリ | 売上は請求アプリ、案件数は案件アプリ |
| 結合キー | 顧客コード、案件番号、商品コード |
| 集計期間 | 請求月、作業月、受注予定月 |
| 除外条件 | テスト、キャンセル、失注、下書き |
| 更新頻度 | 日次、週次、月次、会議前 |
| 権限 | 誰がどの粒度まで見られるか |
ここを決めずに、複数アプリをつないだダッシュボードを作ると、見た目は整っても数字の説明ができません。
複数アプリ横断のダッシュボードは、ツール選定より先に、正本アプリ、結合キー、集計期間、除外条件を決めます。
標準ポータルで足りない場合、krewDashboard、kLooker、Looker Studioなどを検討します。
krewDashboardの機能ページでは、ピボットテーブル、縦棒、折れ線、複合グラフ、ゲージ、スライサー、ドリルダウン、クロスフィルター、PDFや画像への出力などが紹介されています。
また、krewシリーズは、krewSheet、krewData、krewDashboardを組み合わせることで、入力・加工・可視化までをつなげる構成を訴求しています。
これは、kintone内で見やすいダッシュボードを作りたい場合の選択肢です。
一方、kLookerは、kintoneデータをGoogle Looker Studioでダッシュボード化するサービスです。
kLookerのページでは、複数アプリ間集計、kintone外部への共有、定期更新、サイト埋め込み、PDF出力、メール定期配信、アクセス制限などが紹介されています。
実務では、次のように使い分けます。
| 選択肢 | 向いているケース |
|---|---|
| 標準グラフ | 1アプリ内の数字を確認する |
| グラフウィジェット | ポータルで数個の指標を共有する |
| krewDashboard | kintone内で複数グラフ、フィルター、ドリルダウンを使いたい |
| krewData + krewDashboard | 複数アプリの加工・集計をkintone側で扱いたい |
| kLooker / Looker Studio | 社外共有、PDF、メール配信、外部BI形式の画面が必要 |
| 自社BI / DWH | kintone以外の会計、広告、販売、基幹データも統合する |
重要なのは、製品名から選ばないことです。
「krewDashboardを使いたい」ではなく、「kintone内の責任者が、日次で複数グラフを操作しながら見たい」ならkrewDashboardが合います。
「社外パートナーや役員向けに、kintoneアカウントなしで定期配信したい」ならLooker Studio系が合います。
「会議前に3つの指標を見れば足りる」なら、標準ポータルで十分です。
ダッシュボードは、権限設計が非常に重要です。
グラフや集計表は、レコード詳細を見せなくても、合計値として情報を見せることがあります。
売上。
原価。
粗利。
人件費。
個人情報。
評価。
契約金額。
これらを含むダッシュボードは、誰にどこまで見せるかを決めます。
| 情報 | 注意点 |
|---|---|
| 売上 | 担当者別、顧客別で見せる範囲を分ける |
| 原価・粗利 | 経営、管理部、部門長など範囲を限定する |
| 個人情報 | 氏名、連絡先、評価情報の表示に注意する |
| 未回収 | 顧客別の信用情報として扱う |
| 案件確度 | 社外共有時に見せない |
kintone内で見る場合は、アプリ、レコード、フィールドの権限を確認します。
ポータルに置く場合も、対象者が同じ数字を見る前提になっているかを確認します。
外部BIで共有する場合は、kintoneの権限だけでなく、BI側の閲覧権限、URL共有、メール配信、PDF出力の範囲も確認します。
ダッシュボードは、レコードを開かなくても集計値で情報が伝わります。公開前に、原価・粗利・個人情報・顧客別売上の見せ方を確認します。
ダッシュボードは、更新頻度を決めないと使われなくなります。
最新値を見る画面と、会議時点の数字を残す画面は分けます。
| 用途 | 更新頻度 | 保存の考え方 |
|---|---|---|
| 現場の未対応確認 | リアルタイム | 保存せず最新値を見る |
| 営業週次 | 週次 | 会議前時点を確認する |
| 月次経営会議 | 月次 | 確定値として保存する |
| 社外共有 | 提出時、定期配信 | 出力条件と版を残す |
| 監査・説明責任 | 月次、四半期 | 集計条件と根拠を残す |
週次レビューで使うなら、ダッシュボードを見る順番を決めます。
これを決めずに、グラフだけ置いても、会議では「数字を見た」で終わります。
ダッシュボードは、レビューの型とセットで作ります。
週次で見るなら、週次の入力締めを決めます。
月次で見るなら、月次の確定タイミングを決めます。
社外共有するなら、共有前の確認者を決めます。
この運用がないと、いつの数字を見ているのか分からなくなります。
kintoneダッシュボードでよくある失敗を整理します。
| 失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| グラフを置きすぎる | 見る人と会議が決まっていない | 画面を利用者別に分ける |
| 数字が合わない | 正本アプリ、期間、除外条件が違う | 指標定義を先に固定する |
| 複数アプリ横断で詰まる | キーが揃っていない | 顧客コード、案件番号などを設計する |
| 見るだけで終わる | 次の対応に戻る導線がない | レコード一覧、担当、期限を決める |
| 権限事故が起きる | 集計値の公開範囲を確認していない | 権限と外部共有範囲をレビューする |
| 月次の数字が再現できない | 最新値だけを見ている | 集計日時と条件を保存する |
| 外部BI導入後も使われない | 会議運用がない | 週次・月次レビューに組み込む |
特に多いのは、ダッシュボードを「きれいな画面」として作ることです。
見た目が整っていても、会議で使う順番がなければ定着しません。
グラフが多くても、次の対応に戻れなければ改善につながりません。
ダッシュボードは、画面ではなく運用です。
Bitlightでは、kintoneダッシュボードを、単なるグラフ配置ではなく業務判断の設計として整理できます。
たとえば、次のような支援ができます。
kintoneダッシュボードは、ポータルにグラフを置くだけならすぐに始められます。
しかし、経営と現場が同じ数字で話すには、指標の意味、正本データ、更新頻度、公開範囲を揃える必要があります。
現場確認は標準ポータル。
複数グラフの操作やドリルダウンはkrewDashboard。
社外共有や会議資料化はLooker Studio系。
このように役割を分けることで、ダッシュボードは単なる画面ではなく、判断と改善のための業務システムになります。
千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。