kintone業務設計研究所 > kintone名刺管理の設計方法|名刺データを顧客・案件につなげる構成
2026年6月9日
•約25分で読めます
kintoneで名刺管理を作る前に決めるべき、名刺データ、会社マスタ、担当者マスタ、OCR補正、重複名寄せ、営業活動、案件、メール配信、外部名刺管理サービスとの境界を整理します。
kintoneで名刺管理をしたいです。名刺画像を登録して、会社名、氏名、メール、電話番号を入れるアプリを作ればよいでしょうか。
名刺台帳としては始められる。ただし、それだけだと名刺が増えるほど使われなくなる。名刺情報は、会社マスタ、担当者、案件、活動履歴へつなげて初めて営業で使える。
kintoneで名刺管理を作るとき、最初に考えやすいのは名刺入力です。
会社名、部署、役職、氏名、メールアドレス、電話番号、住所、交換日、交換者、名刺画像。
この項目を1つのアプリに並べれば、名刺台帳は作れます。
スマホで撮った名刺画像を添付し、OCRや外部サービスで読み取った結果を登録すれば、紙の名刺よりは探しやすくなります。
ただし、営業やマーケティングで使う名刺管理としては、それだけでは足りません。
実務で困るのは、名刺情報を登録できないことではなく、次のような状態です。
名刺管理は、名刺画像を保存する仕事ではありません。
名刺から得た接点を、会社、担当者、営業活動、案件、フォローに変える業務です。
kintone名刺管理で最初に決めるべきなのは、OCRツールではなく、「名刺データを会社マスタ・担当者・案件のどこへ接続するか」です。
この記事では、kintoneで名刺管理を崩れにくい営業DBとして設計する方法を整理します。
kintone顧客管理の設計方法はこちら
kintone案件管理の設計方法はこちら
kintoneで名刺管理を作るとき、名刺アプリ1つだけでも始めることはできます。
ただし、営業で使える状態にするなら、最初から次の情報を分けます。
| 分けるもの | 1レコードの意味 | 役割 |
|---|---|---|
| 名刺取込受付 | 1枚の名刺画像、1回の取込 | OCR候補、画像、取込元、補正状態を持つ |
| 名刺データ | 1枚の名刺から読んだ情報 | 原文、補正後情報、名刺交換日を残す |
| 会社マスタ | 1社、1法人、1事業所 | 正式社名、所在地、業種、顧客状態を持つ |
| 担当者マスタ | 1人 | 氏名、所属会社、役職、連絡先、在籍状態を持つ |
| 名寄せ確認 | 1つの重複・統合候補 | 同一会社、同一人物、表記揺れを確認する |
| 活動履歴 | 1回の接点 | 展示会、面談、電話、メール、紹介を残す |
| 案件 | 1商談、1相談 | 名刺から発生した提案や受注を追う |
| フォロータスク | 1つの次回行動 | お礼メール、資料送付、再連絡の期限を持つ |
| 配信・営業リスト | 1つの抽出条件 | タグ、同意、除外、配信停止を扱う |
| 連携ログ | 1回の取込・同期 | 外部サービス連携の成否やエラーを追う |
名刺データは、接点の原材料です。
会社マスタは、顧客の辞書です。
担当者マスタは、人の現在状態を持つ場所です。
活動履歴は、いつ誰が会ったかを残す場所です。
案件は、営業プロセスに進んだものを追う場所です。
これを1つの名刺アプリに混ぜると、名刺は登録されているのに、営業が見たい会社情報、案件情報、次回アクションに変換されません。
kintoneでは、他アプリの情報を参照してコピーするルックアップや、条件に一致した別アプリのレコードを表示する関連レコード一覧を使えます。
kintoneヘルプ:ルックアップとは
kintoneヘルプ:関連レコード一覧とは
名刺管理でも、この考え方を使います。
名刺アプリを巨大化させるのではなく、会社、担当者、活動履歴、案件を分け、必要な情報だけをつなげます。
kintoneは、名刺管理のすべてを置き換えるツールではありません。
向いているのは、名刺を営業DBや社内業務アプリにつなぎたいケースです。
| kintoneに向く名刺管理 | 理由 |
|---|---|
| 展示会後のフォロー管理 | 名刺、会社、担当者、フォロータスクをつなげやすい |
| BtoBの顧客・担当者管理 | 会社マスタと担当者マスタに分けて管理できる |
| 営業日報や活動履歴との接続 | 名刺交換を1つの接点として残せる |
| 案件管理への引き継ぎ | 名刺から商談化したものを案件へつなげられる |
| 退職・異動時の引き継ぎ | 個人保有の名刺をチームの顧客資産に変えられる |
| 小規模チームの共有名刺台帳 | 必要な項目や一覧を自社に合わせて変えやすい |
一方で、次の条件が強い場合は、名刺管理サービスを正本にした方がよいです。
| kintoneだけでは重い名刺管理 | 理由 |
|---|---|
| 大量の名刺を高速にOCRしたい | 画像補正、読取精度、補正UIが重要になる |
| オペレーター補正が必要 | 自社で補正ワークフローを持つと運用が重い |
| 企業情報データベースを使いたい | 企業属性、ニュース、人事異動などは専用サービスが強い |
| セキュリティ制御を細かくしたい | ダウンロード制限、公開範囲、監査ログの設計が必要 |
| メール配信やMA連携が中心 | 配信停止、反応履歴、同意管理は別システムを正本にしやすい |
| 営業SFAの活動管理が中心 | 商談、予測、営業活動の正本をSFAに置く方が自然な場合がある |
さっとMEISHIのように、スマホ撮影とOCRで名刺情報をkintoneへ保存する製品もあります。
また、SKYPCEのように、名刺データ化、企業情報、営業活動、kintone連携を含む名刺管理サービスもあります。
ここで重要なのは、どのツールが優れているかではありません。
名刺管理サービスを正本にするのか、kintoneを営業DBにするのかを先に決めることです。
名刺管理は、OCRの入口よりも、取り込んだ後に誰が補正し、どのマスタへ統合し、どの営業活動へつなげるかで成否が決まります。
名刺管理で最初に崩れやすいのは、会社と人を1レコードに混ぜることです。
名刺は、1人が1社に所属している時点の情報です。
しかし実務では、人は異動します。
役職も変わります。
会社名も略称、旧社名、支店名、ブランド名で揺れます。
そのため、名刺データそのものを顧客マスタにしてはいけません。
最低限、次のアプリに分けます。
| アプリ | 1レコードの意味 | 主なフィールド |
|---|---|---|
| 名刺取込受付 | 1枚の名刺画像、1回のOCR結果 | 画像、取込者、取込日、OCR結果、補正状態 |
| 名刺データ | 1枚の名刺から得た情報 | 原文会社名、氏名、部署、役職、メール、電話、交換日 |
| 会社マスタ | 1社、1法人、1事業所 | 会社コード、正式社名、住所、業種、顧客区分、担当部門 |
| 担当者マスタ | 1人 | 氏名、所属会社、役職、メール、電話、在籍状態、主担当 |
| 活動履歴 | 1回の接点 | 日時、接点種別、名刺交換者、会社、担当者、内容 |
| 案件 | 1商談、1相談 | 会社、担当者、フェーズ、金額、次回アクション |
| フォロータスク | 1作業 | 担当者、期限、内容、完了状態、関連案件 |
| 連携ログ | 1回の取込・同期 | 連携元、対象、結果、エラー、再実行 |
名刺取込受付は、まだ正しいデータとは限らない情報を置く場所です。
OCR結果や外部サービスから来た情報は、ここで一度受けます。
| フィールド | 型 | 設計意図 |
|---|---|---|
| 取込番号 | 文字列、採番 | OCR結果を追跡する |
| 名刺画像 | 添付ファイル | 原本確認に使う |
| 取込元 | ドロップダウン | スマホ、スキャナー、外部サービス、手入力 |
| 取込者 | ユーザー選択 | 誰が登録したか |
| 名刺交換日 | 日付 | 接点の日付に使う |
| OCR会社名 | 文字列 | 読み取り結果をそのまま残す |
| OCR氏名 | 文字列 | 補正前の氏名を残す |
| OCRメール | リンク、文字列 | 読み取り誤りの確認対象 |
| 補正状態 | ステータス | 未確認、補正中、補正済み、統合済み |
| 補正メモ | 文字列複数行 | 誤読、確認事項を残す |
ここで大事なのは、OCR結果をすぐ会社マスタや担当者マスタにしないことです。
読取結果は候補です。
人が確認してから、会社マスタや担当者マスタへ統合します。
名刺データは、1枚の名刺から読み取った情報を残す場所です。
会社や担当者の正本とは分けます。
| フィールド | 型 | 設計意図 |
|---|---|---|
| 名刺ID | 文字列、採番 | 名刺単位のキー |
| 原文会社名 | 文字列 | 名刺に書かれていた表記を残す |
| 原文部署 | 文字列 | 当時の部署を残す |
| 原文役職 | 文字列 | 当時の役職を残す |
| 氏名 | 文字列 | 担当者候補 |
| メール | リンク、文字列 | 重複判定や連絡先に使う |
| 電話番号 | 文字列 | 代表電話、直通、携帯を分ける |
| 住所 | 文字列複数行 | 事業所や支店判定に使う |
| 関連会社 | ルックアップ | 会社マスタへ紐づける |
| 関連担当者 | ルックアップ | 担当者マスタへ紐づける |
| 交換者 | ユーザー選択 | 社内で誰が交換したか |
| 交換場所 | ドロップダウン、文字列 | 展示会、面談、紹介など |
名刺データは、過去の接点の証跡です。
担当者マスタは、現在の連絡先です。
この2つを分けておくと、担当者が異動しても、過去の名刺交換履歴は残せます。
会社マスタは、社名の辞書です。
担当者マスタは、人の辞書です。
名刺データは、会社と人をつなぐ入口です。
| データ | 正本にする場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 正式社名 | 会社マスタ | 表記揺れを防ぐ |
| 所在地 | 会社マスタ、事業所マスタ | 支店や拠点を分ける |
| 担当者名 | 担当者マスタ | 人の現在状態を管理する |
| 部署・役職 | 担当者マスタ、名刺データ | 現在値と当時値を分ける |
| 名刺交換日 | 名刺データ、活動履歴 | 接点の履歴として残す |
| 営業担当 | 会社マスタ、案件 | 責任者を明確にする |
| 商談状態 | 案件 | 顧客や名刺に直接持たせない |
会社マスタと担当者マスタを分けると、関連レコード一覧で次のような画面を作れます。
この構成にすると、名刺管理は単なる住所録ではなく、営業や顧客管理の入口になります。
kintone顧客管理の設計方法でも触れたように、顧客マスタは顧客の辞書として扱います。
名刺から得た情報を、その辞書へどう反映するかを決めることが重要です。
名刺管理では、OCRを使うかどうかが話題になりがちです。
OCRは便利です。
大量の名刺を手入力するより速く、初期データを作れます。
ただし、OCR結果をそのまま正本にすると危険です。
名刺には、次のような読み取りミスや判断の迷いが出ます。
l と 1、o と 0 を間違えるそのため、設計としては次のように分けます。
| 処理 | 自動化しやすい | 人が確認すべき |
|---|---|---|
| 画像の登録 | スマホ、スキャナー、外部サービス | 画像が読めるか |
| OCR候補の作成 | 会社名、氏名、メール、電話 | 読み取りミス |
| 重複候補の抽出 | メール、電話、社名類似 | 同一人物、同一会社か |
| 会社マスタへの紐づけ | 会社名、ドメイン、住所 | 正式社名、支店、グループ会社 |
| 担当者マスタへの紐づけ | メール、氏名、会社 | 異動、退職、同姓同名 |
| タグ付け | イベント名、交換者、日付 | 配信同意、営業優先度 |
| 案件化 | フォーム、タグ、メモ | 商談として扱うか |
さっとMEISHIは、スマホカメラで名刺を撮影し、OCRで名刺情報を読み取ってkintoneへ保存する流れを紹介しています。
SKYPCEは、AI-OCRとオペレーター補正、企業情報、kintone連携を含む名刺管理サービスとして紹介されています。
このような外部サービスを使う場合でも、kintone側では「取込結果をどう使うか」を設計します。
読み取った名刺をそのまま登録して終わりではなく、補正状態、統合状態、フォロー状態、連携状態を持たせます。
| 状態 | 意味 | 次にやること |
|---|---|---|
| 未確認 | 取り込んだだけ | OCR結果を確認する |
| 補正中 | 人が修正している | 会社名、氏名、メールを直す |
| 重複確認中 | 既存データと似ている | 会社・担当者を統合するか決める |
| 統合済み | マスタへ反映済み | 活動履歴や案件へつなぐ |
| 保留 | 判断できない | 交換者や営業担当に確認する |
| 除外 | 登録しない | 理由を残す |
OCRは入力の省力化には効きますが、会社マスタや担当者マスタの品質を保証するものではありません。補正と名寄せの責任者を決めておく必要があります。
名刺管理で一番後から効いてくる問題は、重複です。
名刺は人ごと、イベントごと、営業担当ごとに増えます。
同じ会社の同じ担当者でも、複数の名刺が登録されます。
同じ会社でも、次のように表記が揺れます。
この状態を放置すると、名刺は増えているのに、顧客DBとしての価値は下がります。
重複対策では、完全な自動統合を狙いすぎない方がよいです。
まず、重複候補を出し、人が確認して統合する設計にします。
| 判定軸 | 自動候補に使える | 人が見るべき |
|---|---|---|
| メールアドレス | 同一メールなら同一人物候補 | 共有メール、代表メール |
| 会社ドメイン | 同じドメインなら同一会社候補 | グループ会社、子会社 |
| 電話番号 | 代表電話の一致 | 支店、部署直通 |
| 会社名 | 類似文字列 | 略称、旧社名、ブランド名 |
| 氏名 | 同姓同名候補 | 会社、部署、メールとの組み合わせ |
| 住所 | 事業所判定 | 移転、支店、レンタルオフィス |
重複候補アプリを作る場合は、次の項目を持たせます。
| フィールド | 型 | 設計意図 |
|---|---|---|
| 判定番号 | 文字列、採番 | 確認作業のキー |
| 対象名刺 | 関連レコード | どの名刺が候補か |
| 既存会社 | ルックアップ | 統合先候補 |
| 既存担当者 | ルックアップ | 統合先候補 |
| 判定理由 | 複数選択 | メール一致、社名類似、電話一致など |
| 判定状態 | ステータス | 未確認、統合、別人、保留 |
| 判定者 | ユーザー選択 | 誰が判断したか |
| 判定メモ | 文字列複数行 | 判断理由を残す |
更新責任も決めます。
名刺交換者がすべて直すのか。
営業事務が補正するのか。
マーケティング担当が展示会名刺だけ処理するのか。
顧客マスタ管理者が最終統合するのか。
ここが決まっていないと、名刺は登録されても、会社マスタが汚れていきます。
| 更新対象 | 主担当 | 補足 |
|---|---|---|
| 名刺画像・交換日 | 名刺交換者 | 登録漏れを防ぐ |
| OCR補正 | 営業事務、登録者 | メール、氏名、会社名を確認 |
| 会社マスタ統合 | 顧客マスタ管理者 | 正式社名、重複統合を判断 |
| 担当者マスタ統合 | 営業担当、顧客マスタ管理者 | 退職・異動も見る |
| フォロータスク | 営業担当 | 次回連絡を持つ |
| 配信対象 | マーケティング担当 | 同意、除外、配信停止を管理 |
名刺管理は、登録担当だけで完結しません。
営業、営業事務、マーケティング、顧客マスタ管理者の役割分担が必要です。
名刺管理が使われない理由の多くは、登録後の使い道がないことです。
名刺が入っているだけでは、営業は毎日見ません。
営業が見るのは、案件、次回アクション、活動履歴、フォロー対象です。
そのため、名刺管理は次の業務へつなぎます。
| つなぐ先 | 目的 |
|---|---|
| 顧客管理 | 会社と担当者を正式な顧客情報へ統合する |
| 案件管理 | 商談化した接点を案件として追う |
| 活動履歴 | 名刺交換、面談、電話、メールを接点として残す |
| 日報 | その日の訪問・展示会活動として記録する |
| タスク管理 | お礼メール、資料送付、再連絡を期限付きで追う |
| メール配信 | 展示会後の案内やセミナー案内に使う |
| SFA・CRM | 営業活動の正本が別にある場合に連携する |
kintone案件管理の設計方法で整理したように、案件管理は案件一覧だけではなく、活動履歴や次回アクションとつながって初めて使えます。
名刺管理も同じです。
名刺を登録したら、次のいずれかに分類します。
| 分類 | 次に作るもの |
|---|---|
| 既存顧客の担当者 | 担当者マスタ更新、活動履歴 |
| 新規見込み顧客 | 会社マスタ、担当者マスタ、フォロータスク |
| 商談化しそう | 案件、次回アクション |
| 情報収集のみ | タグ、配信候補、保留 |
| 配信対象外 | 除外理由、配信停止フラグ |
| 重複・不明 | 名寄せ確認、交換者確認 |
トライコーンの名刺管理ページでも、名刺登録から顧客管理、アプローチまでをつなげる文脈が打ち出されています。
Bitlightとして設計するなら、この「つなげる」を具体化します。
名刺を登録したら、誰がいつ何をするのか。
フォローしない名刺はどう扱うのか。
名刺交換者が退職したら、誰に引き継ぐのか。
展示会名刺を営業へ渡す条件は何か。
ここまで決めて、初めて名刺管理が営業活動に変わります。
kintoneだけで名刺管理を作るか、外部名刺管理サービスを使うかは、早めに決めた方がよいです。
途中で変えると、名刺画像、OCR結果、会社マスタ、担当者マスタ、タグ、配信同意、活動履歴の移行が重くなります。
判断軸は次の通りです。
| 条件 | kintone中心でよい | 外部名刺管理サービスを検討 |
|---|---|---|
| 名刺枚数 | 少量、手補正で回る | 大量取込、展示会が多い |
| OCR | 簡易でよい | 高精度、オペレーター補正が必要 |
| 企業情報 | 自社で管理する | 外部企業DBや人事異動情報を使いたい |
| セキュリティ | kintone権限で足りる | ダウンロード制限、公開範囲を細かくしたい |
| 活用先 | 顧客・案件・日報へつなぐ | 名刺サービス内で営業支援を使う |
| 配信管理 | kintoneから抽出する | MAやメール配信と強く連携する |
| 運用者 | 営業事務や営業担当が補正 | 専用サービス側で補正を任せたい |
外部名刺管理サービスを使う場合、kintoneに持つべき情報は絞ります。
すべてを同期しようとすると、二重管理になります。
| 外部サービス側 | kintone側 |
|---|---|
| 名刺画像の原本 | 参照URL、取込状態 |
| OCR補正結果 | 会社マスタ・担当者マスタへ反映する項目 |
| 企業情報 | 必要な属性だけコピー |
| 名刺タグ | 営業分類、イベント名、配信対象に変換 |
| 公開範囲 | kintone側の閲覧権限と整合 |
| 活動記録 | kintoneの活動履歴かSFAへ連携 |
逆に、kintoneを営業DBの中心にするなら、外部サービスは取込・補正の入口として使います。
その場合、kintone側に名寄せ確認、統合状態、案件化、フォロータスクを持たせます。
名刺には個人情報が含まれます。
会社名や部署名だけでなく、氏名、メールアドレス、携帯番号、役職、交換日、社内メモが入ります。
誰でも全名刺を見られる設計にしてよいとは限りません。
kintoneでは、アプリ、レコード、フィールドの単位でアクセス権を設定できます。
名刺管理では、最低限、次の役割を分けます。
| 役割 | 見せる範囲 |
|---|---|
| 名刺交換者 | 自分が交換した名刺、担当顧客 |
| 営業担当 | 自分の担当会社・案件に関係する担当者 |
| 営業マネージャー | チームの名刺、活動、案件 |
| 営業事務 | 補正・名寄せに必要な名刺情報 |
| マーケティング | 配信対象、同意、除外、タグ |
| 管理者 | 全体の統合、削除、権限設定 |
| 一般社員 | 原則、必要な範囲だけ |
権限設計で注意すべきなのは、一覧だけを隠せばよいわけではないことです。
関連レコード、ルックアップ、CSV出力、添付画像、コメント、通知にも情報が出る可能性があります。
特に次の項目は慎重に扱います。
レコード単位、フィールド単位のアクセス権を使う場合は、誰が何を見られるべきかを運用前に決めます。
また、退職者の名刺をどう扱うかも決めます。
名刺交換者が退職したら、その人が持っていた名刺をすべて削除するのか。
会社の営業資産として引き継ぐのか。
引き継ぐなら、誰が担当者を引き受けるのか。
このルールがないと、退職や異動のたびに顧客接点が失われます。
kintone名刺管理でよくある失敗は、登録画面を作ることに集中しすぎることです。
| 失敗 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 名刺アプリ1つに全部入れる | 会社、人、接点、案件が混ざる | 名刺、会社、担当者、活動履歴を分ける |
| OCR結果を正本にする | 誤読や表記揺れがマスタへ入る | 補正状態と名寄せ確認を挟む |
| 会社名を自由入力にする | 同じ会社が増える | 会社マスタへ統合する |
| 担当者の異動を考えない | 古い名刺情報を現在情報として使う | 名刺データと担当者マスタを分ける |
| 交換者の個人台帳にする | チームで活用されない | 会社・案件・活動履歴へつなげる |
| 配信同意を持たない | メール配信時に判断できない | 同意、除外、配信停止を管理する |
| フォロータスクを作らない | 展示会後の対応が漏れる | 名刺登録後に次回行動を作る |
| 権限を後回しにする | 個人情報の閲覧範囲が広がる | 役割別に閲覧・編集範囲を決める |
| 外部サービスと二重管理する | どちらが最新か分からない | 正本と連携項目を決める |
名刺管理は、登録件数が増えるほど問題が見えにくくなります。
最初の100枚で設計が曖昧だと、数千枚になったときに修正が難しくなります。
kintone名刺管理を小さく始めるなら、最初から完璧なOCRや外部連携を作らない方がよいです。
まずは、名刺が営業活動につながる最小構成を作ります。
| 日程 | やること | 成果物 |
|---|---|---|
| 1日目 | 名刺管理の目的を決める | 顧客管理、展示会フォロー、案件化など |
| 2日目 | 会社マスタと担当者マスタを分ける | 正式社名、人、連絡先の設計 |
| 3日目 | 名刺取込受付を作る | 画像、OCR候補、補正状態 |
| 4日目 | 名寄せ確認ルールを決める | メール、会社名、ドメイン、判定者 |
| 5日目 | 活動履歴・タスクへつなぐ | 名刺交換、フォロー期限 |
| 6日目 | 権限と配信同意を決める | 閲覧範囲、配信対象、除外 |
| 7日目 | 実際の名刺で試す | 重複、補正負荷、フォロー漏れを確認 |
最初の検証では、名刺枚数を絞ります。
例えば、展示会1回分、営業担当3人分、既存顧客50社分などです。
この範囲で、次の点を確認します。
ここで詰まるなら、アプリを増やす前に設計を直します。
kintone名刺管理を作る前に、次を確認します。
このチェックリストで詰まるところが、kintoneの設定前に決めるべきことです。
特に、名寄せ、更新責任、配信同意、権限設計は後から直すと重くなります。
kintoneで名刺管理を作ること自体は難しくありません。
会社名、氏名、メール、電話番号、名刺画像を入れれば、名刺台帳は作れます。
しかし、営業で使える名刺管理にするには、登録画面だけでは足りません。
必要なのは、名刺データ、会社マスタ、担当者マスタ、名寄せ確認、活動履歴、案件、フォロータスク、配信・営業リストを分けることです。
kintoneは、名刺から顧客管理、案件管理、活動履歴、フォローへつなぐ業務DBとして使うと強いです。
一方で、大量OCR、オペレーター補正、企業情報データベース、細かいセキュリティ制御、配信管理まで含むなら、外部名刺管理サービスやMA、SFAと役割分担した方がよいです。
名刺管理をkintoneで始めるなら、まず次の3つを決めてください。
この3つが決まっていれば、kintone名刺管理は単なる名刺台帳ではなく、営業接点を顧客・案件へ変える業務システムになります。
逆に、ここを曖昧にしたままOCRや名刺アプリだけを入れると、名刺は増えているのに、誰がフォローするのか、どの会社に統合するのか、どの案件につながるのかが分からなくなります。
名刺管理は、名刺を保管する仕事ではありません。
顧客接点を整理し、営業活動へ引き継ぎ、次の行動を発生させる仕事です。
千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。