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請求書PDFを自動でExcelに!VBAとAI OCRの活用法

2025年6月21日

20分で読めます

請求書PDFの手入力にうんざりしていませんか?ExcelのVBAとAzure Document Intelligence(AI OCR)を使えば、請求書の内容を自動でExcelに転記できます。初心者でも実践できる方法を分かりやすく解説します。

生成AI
Excel
Azure
Document Intelligence
VBA

はじめに:請求書処理の悩みを解決!

毎月の請求書を PDF で受け取って、その内容を手作業で Excel に入力していませんか?

「また今月も何十枚もの請求書を一つずつ打ち込まなきゃ...」
「入力ミスがないか何度も確認して、時間ばかりかかる」
「もっと効率的な方法があるはずなのに...」

そんな悩みを抱えているあなたに朗報です!

Excel の VBA(マクロ)と Azure の AI OCR 技術を組み合わせれば、請求書 PDF の内容を自動で Excel に転記できるんです。しかも、プログラミング初心者の方でも大丈夫。今回は、その方法を一緒に実践していきましょう。

この記事を読み終える頃には、あなたも請求書処理の自動化ができるようになっています。月末の憂鬱な作業から解放されて、もっと価値のある仕事に時間を使えるようになりますよ!

Azure Document Intelligence(AI OCR)とは?

「Azure Document Intelligence」って聞くと、なんだか難しそうですよね。でも心配いりません!

簡単に言うと、これはPDF や画像の中の文字を読み取って、データとして取り出してくれる AI サービスなんです。OCR は「Optical Character Recognition(光学文字認識)」の略で、要するに「画像の中の文字を読み取る技術」のことです。

従来の OCR との大きな違いは、AI が賢くなっているところ。例えば:

  • 請求書の形式を理解:「これは会社名」「これは金額」「これは日付」というように、書類の内容を理解してくれます
  • 表の構造も認識:明細の表があれば、その行と列の関係もちゃんと把握します
  • 手書き文字も読める:印刷された文字だけでなく、手書きの文字も読み取れます(精度は印刷文字より落ちますが)

つまり、ただ文字を読むだけじゃなくて、請求書の内容を理解して整理してくれるんです。これってすごいことですよね!

なぜ Excel の VBA と AI を組み合わせるのか?

「わざわざ VBA を使わなくても、他にもっと簡単な方法があるんじゃないの?」

そう思われるかもしれませんね。確かに、AI を使った文書処理サービスはたくさんあります。でも、Excel の VBA と AI を組み合わせることには、こんなメリットがあるんです:

1. 普段使っている Excel がそのまま使える

新しいソフトを覚える必要がありません。いつもの Excel で、いつものように作業できます。データも見慣れた表形式で表示されるので、確認や修正も簡単です。

2. 自分好みにカスタマイズできる

「うちの会社の請求書処理は少し特殊で...」という場合でも大丈夫。VBA なら、あなたの会社独自のルールに合わせて処理をカスタマイズできます。

3. コストを抑えられる

専用のソフトを導入すると月額料金がかかりますが、この方法ならAzure Document Intelligence の利用料だけ。しかも、月 500 ページまでは無料で使えるんです!

4. データが外部に漏れにくい

大切な請求書データを外部のサービスに預けることなく、自分のパソコンで処理できます。セキュリティ面でも安心ですね。

要するに、慣れ親しんだ Excel の環境で、低コストで、安全に請求書処理を自動化できるというわけです。

事前準備:Azure アカウントと Excel VBA の設定

Azure アカウントの作成と Document Intelligence の設定

さあ、実際に始めてみましょう!まずは Azure のアカウントを作って、Document Intelligence を使えるようにします。

ステップ 1:Azure アカウントの作成

  1. Azure 公式サイトにアクセス
  2. 「無料で始める」をクリック
  3. Microsoft アカウントでログイン(持っていない場合は新規作成)
  4. 必要な情報を入力して登録完了

Azureのサインアップ画面

初回登録なら200 ドル分の無料クレジット(サインアップ後 30 日間有効)がもらえるので、安心して試せますよ!

ステップ 2:Document Intelligence リソースの作成

  1. Azure ポータルにログイン
  2. 「リソースの作成」をクリック
  3. 検索ボックスに「Document Intelligence」と入力
  4. 「作成」をクリック
  5. 以下の項目を設定:
    • リソースグループ: 新規作成(例:「invoice-processing」)
    • リージョン: 「Japan East」を選択
    • 名前: 任意の名前(例:「my-invoice-ocr」)
    • 価格レベル: 「F0(無料)」を選択

Document Intelligence作成画面

  1. 「確認および作成」→「作成」をクリック

ステップ 3:API キーとエンドポイントの取得

作成が完了したら:

  1. 作成したリソースをクリック
  2. 左メニューの「キーとエンドポイント」をクリック
  3. キー 1エンドポイントをメモ帳にコピー

これらの情報は後で VBA コードに設定するので、大切に保管してくださいね!

Document Intelligence の料金について

「でも、料金が心配...」という方も多いですよね。安心してください、Document Intelligence はかなり優しい料金設定になっています。

Free (F0) プラン:

  • 月 500 ページまで完全無料
  • 請求書なら月に 500 枚まで処理できます
  • 小規模な会社なら十分すぎる量ですね!

Standard (S0) プラン(有料):

  • 0 ~ 100 万ページ:1,000 ページあたり 1.50 ドル
  • 100 万ページ超:1,000 ページあたり 0.60 ドル
  • 請求書処理なら月 2,000 枚でも約 3 ドル(約 450 円)程度
  • 人件費を考えれば圧倒的にお得です

しかも、処理したページ数に応じた従量課金制なので、使わない月は料金がかかりません。「試しに使ってみたけど、思ったより使わなかった」という場合でも安心ですね。

月 500 枚なら、多くの中小企業では無料プランの範囲内で十分実用的に使えると思います。まずは無料で始めて、必要に応じて有料プランを検討すればいいでしょう。

※価格は米ドル表記です。ご契約時の為替レートにより日本円での請求額が変動します。
※詳細はAzure 公式サイトをご確認ください。

Excel VBA の環境準備

次に、Excel 側の準備をしていきましょう。VBA を使うために、いくつかの設定が必要です。

ステップ 1:開発者タブを表示する

  1. Excel を開く
  2. 「ファイル」→「オプション」をクリック
  3. 「リボンのユーザー設定」を選択
  4. 右側の「開発」にチェックを入れる
  5. 「OK」をクリック

Excelで開発タブ設定画面

これで画面上部に「開発」タブが表示されるようになります。

ステップ 2:参照設定を追加する

VBA でインターネット通信と JSON 処理をするために、必要なライブラリを追加します:

  1. 「開発」タブ →「Visual Basic」をクリック
  2. VBA 画面で「ツール」→「参照設定」をクリック
  3. 以下の項目にチェックを入れる:
    • Microsoft XML, v6.0 (インターネット通信用)
    • Microsoft Scripting Runtime (辞書オブジェクト用)
  4. 「OK」をクリック

VBAの参照設定

ステップ 3:JSON ライブラリをダウンロード

Azure Document Intelligence からのレスポンスは JSON 形式なので、VBA で JSON を扱えるようにします:

  1. VBA-JSON のZIPファイルをダウンロード
  2. ダウンロードしたZIPファイルを展開
  3. 展開したフォルダ内にある「JsonConverter.bas」を確認
  4. VBA 画面で「ファイル」→「ファイルのインポート」
  5. 「JsonConverter.bas」を選択してインポート

これで準備完了です!VBA で AI を使う環境が整いました。

VBA コードで請求書 PDF を自動処理する方法

完成版コード

まずは完成版のコードをご覧ください。一見複雑に見えるかもしれませんが、後で詳しく説明するので安心してくださいね。

重要:コードを使う前に必ず以下を変更してください

  • YOUR_RESOURCE_NAME → あなたが作成した Document Intelligence リソース名
  • YOUR_API_KEY_HERE → 先ほどメモした API キー
Option Explicit

' ------------------------------------------------------------
' Azure Form Recognizer (Document Intelligence) を使った請求書解析 VBA モジュール
' 事前準備:
'  1) VBA エディタの [ツール]→[参照設定] で以下を有効に
'     - Microsoft XML, v6.0
'     - Microsoft Scripting Runtime
'  2) GitHub「VBA-JSON」の JSONConverter.bas をインポートする
'
' 定数設定
Private Const ENDPOINT As String = "https://YOUR_RESOURCE_NAME.cognitiveservices.azure.com/documentintelligence/documentModels/prebuilt-invoice:analyze?api-version=2024-11-30"
Private Const API_KEY   As String = "YOUR_API_KEY_HERE"

' メイン実行プロシージャ
Public Sub ParseInvoicePDF()
    Dim pdfPath   As String
    pdfPath = Application.GetOpenFilename("PDF Files (*.pdf), *.pdf", , "請求書PDFを選択")
    If pdfPath = "False" Then Exit Sub

    Dim opUrl     As String
    opUrl = StartAnalysis(pdfPath)
    If opUrl = "" Then
        MsgBox "Operation-Location ヘッダーが取得できませんでした。", vbCritical
        Exit Sub
    End If

    Dim resultJson As String
    resultJson = PollAnalysis(opUrl)
    If resultJson = "" Then Exit Sub

    Dim jsonObj   As Object
    Set jsonObj = JsonConverter.ParseJson(resultJson)

    WriteResultToSheet jsonObj
    MsgBox "解析完了!シートを確認してください。", vbInformation
End Sub

' 解析ジョブ開始 → Operation-Location を返却
Private Function StartAnalysis(ByVal pdfPath As String) As String
    Dim http As New MSXML2.ServerXMLHTTP60
    http.Open "POST", ENDPOINT, False
    http.setRequestHeader "Ocp-Apim-Subscription-Key", API_KEY
    http.setRequestHeader "Content-Type", "application/pdf"
    http.send LoadBinaryFile(pdfPath)
    StartAnalysis = http.getResponseHeader("Operation-Location")
End Function

' PDF をバイナリで読み込む
Private Function LoadBinaryFile(ByVal filePath As String) As Variant
    Dim stream As Object
    Set stream = CreateObject("ADODB.Stream")
    stream.Type = 1 ' adTypeBinary
    stream.Open
    stream.LoadFromFile filePath
    LoadBinaryFile = stream.Read
    stream.Close
End Function

' ポーリングしてステータス "running" から脱したら JSON 全体を返却
Private Function PollAnalysis(ByVal opUrl As String) As String
    Dim http      As New MSXML2.ServerXMLHTTP60
    Dim status    As String
    Dim response  As String
    Dim jsonObj   As Object

    Do
        Application.Wait Now + TimeSerial(0, 0, 1)
        http.Open "GET", opUrl, False
        http.setRequestHeader "Ocp-Apim-Subscription-Key", API_KEY
        http.send
        response = http.responseText
        Set jsonObj = JsonConverter.ParseJson(response)
        status = jsonObj("status")
    Loop While status = "running"

    PollAnalysis = response
End Function

' JSON オブジェクトから請求書情報を抽出してシートに書き込む例
Private Sub WriteResultToSheet(ByVal jsonObj As Object)
    Dim fields      As Object
    Set fields = jsonObj("analyzeResult")("documents")(1)("fields")

    Dim sht         As Worksheet
    Set sht = ThisWorkbook.Sheets(1)
    sht.Cells.ClearContents

    Dim row As Long: row = 1
    Dim i   As Long

    ' --- 請求書サマリ出力 ---
    Dim summaryKeys  As Variant
    Dim summaryNames As Variant
    summaryKeys = Array("CustomerName", "InvoiceDate", "DueDate", "SubTotal", "TotalTax", "InvoiceTotal", "VendorName")
    summaryNames = Array("顧客名", "請求日", "支払期日", "小計", "消費税", "合計", "発行者名")

    For i = 0 To UBound(summaryKeys)
        Dim key As String: key = summaryKeys(i)
        Dim fld As Object: Set fld = fields(key)
        Dim outVal As Variant

        Select Case fld("type")
            Case "string"
                outVal = fld("valueString")
            Case "date"
                outVal = fld("valueDate")
            Case "number"
                outVal = fld("valueNumber")
            Case "currency"
                outVal = fld("valueCurrency")("amount")
            Case Else
                outVal = ""
        End Select

        sht.Cells(row, 1).Value = summaryNames(i)
        sht.Cells(row, 2).Value = outVal
        row = row + 1
    Next i

    ' 空行
    row = row + 1

    ' --- 明細出力 ---
    ' 見出し
    Dim itemCols As Variant
    itemCols = Array("項目", "数量", "単価", "金額")
    For i = 0 To UBound(itemCols)
        sht.Cells(row, i + 1).Value = itemCols(i)
    Next i
    row = row + 1

    ' items 配列
    Dim itemsArr As Object
    Set itemsArr = fields("Items")("valueArray")

    Dim itm     As Variant
    For Each itm In itemsArr
        Dim itmFields As Object
        Set itmFields = itm("valueObject")

        sht.Cells(row, 1).Value = itmFields("Description")("valueString")
        sht.Cells(row, 2).Value = itmFields("Quantity")("valueNumber")
        sht.Cells(row, 3).Value = itmFields("UnitPrice")("valueCurrency")("amount")
        sht.Cells(row, 4).Value = itmFields("Amount")("valueCurrency")("amount")

        row = row + 1
    Next itm

    ' 列幅自動調整
    sht.Columns("A:D").AutoFit
End Sub

コード解説:各機能の詳しい説明

「うわー、コードが長くて難しそう...」と思いましたか?大丈夫です!実は、このコードは 4 つの簡単な処理に分かれているだけなんです。

1. メイン処理(ParseInvoicePDF)

Public Sub ParseInvoicePDF()
    ' PDFファイルを選択
    Dim pdfPath As String
    pdfPath = Application.GetOpenFilename("PDF Files (*.pdf), *.pdf", , "請求書PDFを選択")

    ' 以下、処理の流れ...
End Sub

これがメインの処理です。やっていることは:

  1. PDF ファイルを選択する画面を表示
  2. AI に解析を依頼
  3. 結果が出るまで待つ
  4. 結果を Excel シートに書き込む

まさに人間がやる作業と同じ流れですね!

2. 解析開始処理(StartAnalysis)

Private Function StartAnalysis(ByVal pdfPath As String) As String
    Dim http As New MSXML2.ServerXMLHTTP60
    http.Open "POST", ENDPOINT, False
    http.setRequestHeader "Ocp-Apim-Subscription-Key", API_KEY
    http.setRequestHeader "Content-Type", "application/pdf"
    http.send LoadBinaryFile(pdfPath)
    StartAnalysis = http.getResponseHeader("Operation-Location")
End Function

ここではPDF ファイルを Azure に送信しています。

  • http.Open "POST" → 「データを送信します」という意味
  • http.setRequestHeader → 「これは認証キーです」「これは PDF ファイルです」という説明を付ける
  • http.send → 実際にファイルを送信

送信すると、Azure 側から「処理中です。結果はこの URL で確認してください」という返事(Operation-Location)がもらえます。

3. 結果取得処理(PollAnalysis)

Private Function PollAnalysis(ByVal opUrl As String) As String
    Do
        Application.Wait Now + TimeSerial(0, 0, 1)  ' 1秒待つ
        http.Open "GET", opUrl, False
        http.setRequestHeader "Ocp-Apim-Subscription-Key", API_KEY
        http.send
        response = http.responseText
        Set jsonObj = JsonConverter.ParseJson(response)
        status = jsonObj("status")
    Loop While status = "running"  ' 処理中の間は繰り返す
End Function

AI の処理は時間がかかるので、1 秒おきに「まだ?」と確認しています。

  • Application.Wait → 1 秒待つ
  • status = "running" → まだ処理中
  • status = "succeeded" → 処理完了!

人間が「まだかな?まだかな?」と確認するのと同じですね。

4. 結果書き込み処理(WriteResultToSheet)

Private Sub WriteResultToSheet(ByVal jsonObj As Object)
    ' 請求書の基本情報を取得
    sht.Cells(row, 1).Value = "顧客名"
    sht.Cells(row, 2).Value = fields("CustomerName")("valueString")

    ' 明細情報を取得
    For Each itm In itemsArr
        sht.Cells(row, 1).Value = itmFields("Description")("valueString")  ' 項目名
        sht.Cells(row, 2).Value = itmFields("Quantity")("valueNumber")     ' 数量
        ' ...
    Next itm
End Sub

AI から返ってきた結果をExcel シートに整理して書き込みしています。

  • 会社名、請求日、金額などの基本情報
  • 明細の項目名、数量、単価、金額

まるで人間が請求書を見ながら手入力するのと同じ作業を、コンピューターが自動でやってくれるんです!

実行手順:実際に請求書 PDF を Excel に変換してみよう

準備が整ったので、実際に請求書 PDF を変換してみましょう!

今回は、こちらのサンプル請求書を使って実際の変換過程をご紹介します。一般的な日本の請求書フォーマットで、会社名、請求日、明細項目、金額などが含まれています。

サンプルの請求書PDF

このような請求書でも、AI が自動的に各項目を認識して、きれいにExcelに整理してくれるんです。それでは実際にやってみましょう!

ステップ 1:コードを設定する

  1. 「開発」タブ →「Visual Basic」をクリック
  2. 「挿入」→「標準モジュール」で新しいモジュールを作成
  3. 上記のコードをコピー&ペースト
  4. 以下の部分を変更:
    Private Const ENDPOINT As String = "https://あなたのリソース名.cognitiveservices.azure.com/documentintelligence/documentModels/prebuilt-invoice:analyze?api-version=2024-11-30"
    Private Const API_KEY As String = "あなたのAPIキー"
    

ステップ 2:マクロを実行する

  1. VBA 画面を閉じて Excel に戻る
  2. 「開発」タブ →「マクロ」をクリック
  3. 「ParseInvoicePDF」を選択して「実行」をクリック
  4. ファイル選択画面で請求書 PDF を選択

ステップ 3:結果を確認する

処理が完了すると、以下のような形でデータが表示されます:

実行結果のExcel画面

ご覧ください!先ほどのPDFから、以下の項目が自動的にExcelに転記されました:

項目
顧客名 株式会社サンプル
請求日 2024/1/1
支払期日 2024/2/1
小計 220,100
消費税 17,600
合計 237,700
発行者名 株式会社ビットライト

その下に明細表も表示されます:

項目 数量 単価 金額
小型ロボット 10 10,000 100,000
小型バッテリー 100 1,200 120,000
説明書 1 100 100

所要時間:約 5〜10 秒

請求書の内容にもよりますが、通常は 5〜10 秒程度で処理が完了します。手作業なら数分かかる作業が、あっという間に終わってしまいます!

よくあるエラーと対処法

実際に使っていると、いくつかのエラーに遭遇することがあります。でも大丈夫!よくあるパターンと解決方法をまとめておきますね。

エラー 1:「参照設定が見つかりません」

症状:コンパイルエラーが発生する

原因:Microsoft XML, v6.0 や Microsoft Scripting Runtime が有効になっていない

解決方法

  1. VBA 画面で「ツール」→「参照設定」
  2. 以下にチェックが入っているか確認:
    • Microsoft XML, v6.0
    • Microsoft Scripting Runtime
  3. チェックが外れていたら、チェックを入れて「OK」

エラー 2:「JsonConverter が見つかりません」

症状:実行時エラーで JsonConverter が認識されない

原因:VBA-JSON ライブラリがインポートされていない

解決方法

  1. VBA-JSON のZIPファイルをダウンロードして展開し、JsonConverter.bas を取得
  2. VBA 画面で「ファイル」→「ファイルのインポート」
  3. ダウンロードしたファイルを選択

エラー 3:「401 Unauthorized」

症状:認証エラーが発生する

原因:API キーが間違っているか、古い

解決方法

  1. Azure ポータルでリソースを確認
  2. 「キーとエンドポイント」から正しいキーをコピー
  3. VBA コードの API_KEY を更新

エラー 4:「処理が完了しない」

症状:ずっと「処理中」のまま終わらない

原因:PDF ファイルが大きすぎるか、形式が対応していない

解決方法

  • PDF ファイルサイズを確認(50MB 以下推奨)
  • スキャンした PDF ではなく、テキストデータ付き PDF を使用
  • 請求書以外の文書でないか確認

エラー 5:「データが正しく取得できない」

症状:空白や文字化けが発生する

原因:請求書の形式が AI で認識しにくい

解決方法

  • PDF の画質を確認(鮮明な画像か)
  • 手書き部分が多すぎないか確認
  • 一般的な請求書フォーマットを使用

困った時の対処法

  1. エラーメッセージをメモする:正確なエラー内容を記録
  2. 1 つずつ確認する:設定を一つずつ見直す
  3. 小さなファイルで試す:シンプルな請求書から始める
  4. Azure 使用量を確認:無料枠を超えていないかチェック

何かトラブルがあっても、落ち着いて一つずつ確認していけば、必ず解決できますよ!

さらなる応用アイデア

基本的な請求書処理ができるようになったら、こんな応用もできますよ!

1. 複数ファイルの一括処理

月末に溜まった請求書を一気に処理したいなら、指定したフォルダ内のすべてのPDFファイルを順番に処理する機能を追加できます。数十枚の請求書でも、ボタン一つで全部処理完了!

2. 会計ソフト連携

処理結果をCSVファイルで出力すれば、弥生会計やfreeeなどの会計ソフトに直接取り込めます。「仕訳データ」として使えるフォーマットで出力すれば、経理作業が劇的に楽になりますね。

3. 承認ワークフロー

処理結果に「確認者」「承認日」などの欄を追加して、ダブルチェック体制を組み込むことも可能です。AIが読み取った内容を人間が確認してから確定する、という安全なプロセスが作れます。

4. 異なる文書タイプへの対応

Document Intelligenceは請求書以外にも対応しています:

  • 領収書:経費精算の自動化
  • 名刺:顧客情報の自動登録
  • 身分証明書:本人確認書類の自動処理
  • 契約書:重要項目の自動抽出

同じ仕組みで様々な書類処理を自動化できるんです。

5. データベース連携

処理結果をAccessやSQL Serverのデータベースに直接保存すれば、過去の請求書データを検索・集計・分析できるようになります。売上分析や取引先別の集計も簡単です。

6. 定期実行の自動化

Windowsのタスクスケジューラと組み合わせれば、毎日決まった時間に自動実行も可能。メールで受信した請求書PDFを自動処理するような、完全無人システムも作れます。

7. 精度向上のカスタマイズ

自社独自の請求書フォーマットが多い場合は、Azure Document Intelligenceでカスタムモデルを作成できます。学習データを与えることで、より高い精度での自動処理が実現できます。

8. 通知機能の追加

処理完了時にメール通知やSlack通知を送る機能を追加すれば、チーム全体で処理状況を共有できます。

可能性は無限大ですね!まずは基本機能をマスターして、徐々に機能を拡張していきましょう。

まとめ:請求書処理を自動化して業務効率アップ!

お疲れさまでした!ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今回は、Excel の VBA と Azure Document Intelligence(AI OCR)を使って、請求書 PDF を自動で Excel に変換する方法をご紹介しました。

この記事で学んだこと

  • Azure Document Intelligence:AI を活用した OCR 技術の基本
  • VBA と AI の連携:Excel で AI サービスを活用する方法
  • 実践的なコード:すぐに使える完成版の VBA コード
  • トラブル対処:よくあるエラーとその解決策
  • 応用の可能性:さらなる活用アイデア

最初は「難しそう...」と思われたかもしれませんが、実際にやってみると案外シンプルですよね。人間の作業をそのままコンピューターにやらせているだけなんです。

あなたが得られるメリット

この自動化を導入することで:

  • 時間の節約:月末の請求書処理時間を大幅短縮
  • 精度の向上:手入力ミスがなくなる
  • ストレス軽減:単調な作業から解放される
  • コスト削減:人件費を抑えつつ生産性向上

**「月末の憂鬱な作業」から「ボタン一つで完了する楽々作業」**に変わります!

次のステップ

  1. まずは試してみる:小さな請求書から始めてみましょう
  2. 慣れてきたら拡張:複数ファイル処理や他の文書タイプに挑戦
  3. チーム展開:同僚にも共有して、チーム全体の効率化を

最後に

技術の進歩によって、私たちの仕事はどんどん楽になっています。AI を「難しいもの」と敬遠するのではなく、「便利な道具」として活用していきましょう。

あなたの業務効率化の一助になれば幸いです。何かご質問があれば、お気軽にお声がけくださいね。

さあ、今日から請求書処理の自動化を始めて、もっと価値の高い仕事に時間を使いましょう!

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著者
守高 成悟
守高 成悟

代表取締役 CEO

大阪大学基礎工学部情報科学科卒業。大学時代はAIについて研究。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を持つ。株式会社ビットライト代表として、生成AI・RPA・Excelなどを活用した業務効率化の専門コンサルティングを提供。

著者
守高 成悟
守高 成悟

代表取締役 CEO

大阪大学基礎工学部情報科学科卒業。大学時代はAIについて研究。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を持つ。株式会社ビットライト代表として、生成AI・RPA・Excelなどを活用した業務効率化の専門コンサルティングを提供。