Cloudflare研究所 > Cloudflareとは?EmDash・Cloudflare OSから見るWeb・AI・データ基盤の全体像
2026年10月22日
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Cloudflareの主要サービスをWeb配信・アプリ開発・社内AI・データ分析に分けて解説。EmDash、Cloudflare OS、Workers、D1、R2、Basinの役割と、企業で小さく試す際の判断ポイントを整理します。
Cloudflareって、Webサイトを速くするサービスですよね。EmDashやCloudflare OSも同じものですか。
同じ会社の製品じゃが、役割が違う。サイトを届ける仕組み、記事を管理する仕組み、社内AIを動かす仕組みを分けると、全体像をつかみやすいぞ。
Cloudflareの名前を、Webサイトの高速化やセキュリティ対策で知った方も多いでしょう。最近は、CMSのEmDash、社内AIワークスペースのCloudflare OSなど、日々の仕事に近い製品も登場しています。
製品を理解するには、**「Webを届ける」「アプリを動かす」「コンテンツを編集する」「社内の仕事を進める」**という用途に分けると見通しがよくなります。新しい製品が出るたびに、既存のシステムを置き換える必要があるわけではありません。自社で困っている作業に、どの製品が関係するかを見つけることが出発点です。
この記事は2026年10月22日時点の公式情報をもとにした導入検討ガイドです。後半の試行計画は当研究所が提案する進め方であり、実環境での性能検証結果ではありません。
Cloudflareを選ぶときは、製品名より先に、実現したい業務と運用の担当を決める。

2026年9月末から10月初めにかけて、CloudflareはBirthday Weekで多数の機能を発表しました。注目したいのは、基盤の機能追加に加えて、その上で人やAIが使うソフトウェアの選択肢が増えている点です。
| 発表 | 日付 | 何をするものか | 導入時の見方 |
|---|---|---|---|
| EmDash 1.0 | 2026年9月28日 | Astroベースのコンテンツ管理システム | 編集作業とサイト開発の両方を評価する |
| Vinext 1.0 | 2026年9月28日 | Next.jsアプリをViteで構築するフレームワーク | 使用中の機能との互換性を確認する |
| Cloudflare OSのマネージド版待機リスト | 2026年10月1日 | 社内AIワークスペースの運用をCloudflareへ任せる選択肢 | 受付開始と、自社が利用可能な状態を分ける |
| Cloudflare OSの連携・導入支援の拡充 | 2026年10月19日 | Notionなどの業務ツールとの連携や導入支援 | 自社の契約・権限で利用できる操作を調べる |
| Basinの一般提供 | 2026年10月1日 | データの収集・保存・分析を支える基盤 | 分析したいデータと運用担当者を決める |
出典:Birthday Week公式一覧、EmDash 1.0、Vinext 1.0、Cloudflare OSの発表、Basin一般提供。
10月19日には、Cloudflare OSの業務アプリ連携と導入支援パートナーの拡充も発表されました。公式発表
この流れは、Cloudflareが「AIや開発者が作ったものを動かす基盤」と「その基盤を使って仕事をする道具」の両方を広げている動きと読めます。これは当研究所の見立てです。すべての製品がひとつの契約や管理画面で完結する、という意味ではありません。
最初に覚えたいのは製品の数ではなく、役割の違いです。
| やりたいこと | 関係するサービス | 担う役割 |
|---|---|---|
| Webサイトを届け、アクセスを保護したい | CDN・WAFなど | コンテンツ配信や不正な通信への対策 |
| APIやWebアプリを実行したい | Workers | アプリの処理を動かす実行環境 |
| アプリの業務データを保存したい | D1 | SQLで扱うデータベース |
| 画像・ファイルを保存したい | R2 | オブジェクトストレージ |
| 記事を担当者自身で編集したい | EmDash | コンテンツの管理・公開 |
| 社内情報を使ってAIに作業させたい | Cloudflare OS | AIエージェントと業務用アプリの仕事場 |
| AIモデルへの呼び出しを管理したい | AI Gateway | AIサービス利用の可視化や制御 |
| ログやイベントを集めて分析したい | Basin | 分析データの収集・管理・SQL実行 |
Workers、D1、R2は組み合わせて使えますが、同じサービスではありません。たとえば問い合わせ一覧を表示するアプリなら、Workersが処理し、D1が問い合わせの項目を保存し、R2が添付ファイルを保存する、という構成が考えられます。これは役割を理解するための構成例です。
詳しい仕様はWorkers、D1、R2、AI Gatewayの公式ドキュメントで確認できます。
どちらもAIとの関わりがありますが、主な目的は異なります。
EmDashは、Webサイトのコンテンツを管理するCMSです。 広報担当者が記事を編集し、開発者がサイトの表示や機能を整える用途が中心です。API・CLI・MCPなど、AIエージェントが操作するための入り口も用意されています。EmDash公式発表
Cloudflare OSは、会社の情報を使って作業するAIワークスペースです。 資料を作る、データを調べる、社内向けの小さなアプリを作る、といった業務が対象です。Workers上で動き、外部サービスへのアクセスを制御する仕組みを備えています。Cloudflare OS公式サイト
たとえば「会社のニュース記事を更新したい」ならEmDash、「過去の案件情報を調べて会議資料を準備したい」ならCloudflare OSが検討対象になります。AIという共通点だけで比較すると、目的に合わない製品を選んでしまいます。
それぞれの導入条件は、EmDashの解説とCloudflare OSの解説で詳しく扱っています。
まず調べたいのは、更新に時間がかかる理由です。担当者に編集権限がないのか、ページを毎回コードで修正しているのか、公開承認で止まっているのかによって、改善方法が変わります。
EmDashを試すなら、お知らせ・事例・サービス紹介など、更新担当者が異なるページを少数ずつ用意します。文章を入力できるだけでなく、画像の差し替え、公開前の確認、誤更新の修正まで、実際の担当者に操作してもらうことが大切です。
既存のWordPressに問題がある場合も、CMS移行が唯一の答えとは限りません。表示速度や保守の問題なら、まずWordPress高速化研究所で扱うような原因の切り分けから始められます。
Cloudflare OSを検討するなら、「AIに何でも相談する」よりも、繰り返し発生する成果物をひとつ決めます。顧客面談の準備メモ、週次の案件報告、問い合わせ内容の分類などです。
入力に使う資料と、完成物を確認する担当者を決めれば、評価しやすくなります。「文章が自然だった」だけでは足りません。参照元にない数字を加えていないか、対象外の顧客情報を混ぜていないか、担当者の修正時間が減ったかを確認します。
Basinは、イベントの取り込み、データ管理、SQL分析を組み合わせるサービスです。D1で日々の業務データを管理することと、大量の履歴を分析することは、目的を分けて考えます。Basin公式ドキュメントの一般提供案内
導入前に必要なのは、「毎週どの数字を判断に使いたいか」という定義です。問い合わせ件数ひとつでも、送信回数、重複を除いた人数、有効な商談数では意味が異なります。保存先を変えても、指標の定義がそろわなければ会議で使える数字にはなりません。
「OSSだから無料」「サーバーレスだから費用を気にしなくてよい」と考えると、導入後に見積もりとの差が生じます。検討では、次の費用を分けて記録します。
| 費用の種類 | 確認する項目 | 見積もりに使う業務量 |
|---|---|---|
| 処理の実行 | Workersなどの契約・使用量 | リクエスト数、処理の重さ、定期実行の回数 |
| データの保存と利用 | データベース・ファイル・分析 | 保存量、読み書き、検索・集計の頻度 |
| AIの利用 | モデル提供者や利用経路の料金 | 入出力の量、再試行、長い資料の読み込み |
| 開発と移行 | 初期構築、データ整備、接続設定 | 対象システム数、移行データ、例外処理 |
| 継続運用 | 更新、監視、問い合わせ対応 | 担当者の時間、障害時の復旧作業 |
小さな試行では、完成した作業1件あたりの費用と、人が確認する時間を測ります。月額の想定は、その数字に実際の件数を掛けて算出します。単価や無料枠は変わるため、採用する製品の最新料金を確認してください。Cloudflare公式料金案内
新しい基盤を評価するときは、対象を狭くするほど判断が速くなります。次のような計画なら、試した結果を次の意思決定につなげやすくなります。
ここで判断したいのは、デモが動いたかどうかだけではありません。普段の担当者が続けて使え、問題が起きたときに元の仕事へ戻れるかまで確認します。
構成によります。既存サーバーを残して配信やアクセス保護にCloudflareを利用する方法もあれば、特定の処理をWorkersへ移す方法もあります。システム全体を一度に移す前提で考える必要はありません。
必要ありません。別の用途を持つ製品です。EmDashにはCloudflareへの配置とNode.jsでの運用に関する公式案内があります。EmDashのデプロイ案内
まずは対象業務に必要な情報と操作を絞ることを勧めます。連携先の数を増やす前に、回答の根拠、参照権限、更新前の確認、失敗時の扱いを固めると、導入後の手戻りを減らせます。
本記事は株式会社ビットライトが運営する独立メディアの解説です。Cloudflareの公式記事ではありません。
千葉県出身。10歳の頃からプログラミングを始め、ゲーム、Webサイト、ロボット、スマホアプリなどを制作。大阪大学基礎工学部情報科学科で情報工学と統計学を学び、大学時代はAIを研究。大学在学中にWeb広告代理店でのインターンや人材系Webサービスの立ち上げを経験し、卒業後はフリーランスエンジニアとしてGISシステム、データ基盤構築、Webシステムの開発に従事。10年以上のWebアプリ開発・データ分析経験を基に、2023年9月に株式会社ビットライトを設立し、現場業務の仕組み化からデータ基盤構築、データ活用支援までを一気通貫で支援。